マップ、携帯、アプリ…変貌を続けるネットの”神”・グーグル

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 顧客数は現在50万社。毎日3000件が新たに利用を始める。IT予算の少ない中小企業の利用が多かったが、ここへきて大企業でも導入する動きが出てきた。さらに、無料で使っていた顧客が有料サービスに移行するなど、有料版の利用も膨らんできているという。今後はさらに大企業の獲得に力を入れる考えだ。

その追い風となりそうなのが、今年4月のセールスフォース・ドット・コムとの提携だ。同社はネット経由でCRMなどの業務用ソフトを提供するSaaS(サース)大手。顧客の要望などを基に頻繁にサービスに加えるなど、アフターサービスに定評のある同社と一体となってソフトを提供できるようになれば、より多くの企業にリーチできるほか、メンテナンスも任せられる。

文書作成や表計算などのソフト群はマイクロソフトの「オフィス」が圧倒的なシェアを持つ領域。果たしてグーグルは成功できるのか。「何もマイクロソフトからビジネスを奪おうとしているわけじゃない。ただ、グーグル・アップスにはリアルタイムのコラボレーションなど優れた機能がたくさんある。これは強みだ」(ジラールド氏)。設立10周年を迎えても、貪欲に新たな分野に切り込んでいくグーグル。マウンテンビューから吹く変化の風はやみそうにない。

COLUMN
エコビジネスにも乗り出したグーグル

地図や動画共有など従来のネット検索からサービスの幅を広げ続けるグーグルだが、エコロジー分野の活動にも乗り出している。昨年11月末には、同社の慈善活動の一環として「REC<C」と銘打った環境関連プロジェクトを発足。「08年度には何千、何百万ドルの資金を代替エネルギーの分野の研究開発に投資する」と発表した。すでに、太陽電池関連のeソーラーなど複数社に出資。自社内でもエンジニアたちが代替エネルギー関連の研究に取り組んでいる。

データセンターで膨大な電力を消費するグーグルにとって節電は大きな課題。現時点では社屋屋根に設置した太陽電池を使って社内の一部電力を賄う程度だが、「チャリティ活動ではなくてビジネスも考えている。将来的には化石燃料より安い代替エネルギーを開発するのが目標」と同プログラムの広報担当者。グーグルはエコの世界でも革命を起こせるか。

INTERVIEW
マイクロソフト・フリーを目指す--ジム・スティール
 セールスフォース・ドット・コム社長兼チーフ・カスタマーオフィサー

グーグルはセールスフォースを利用していたから、いかにわれわれのサービスが優れているか知っている。1年以上「アドワーズ」で協業していた実績もあって4月の提携につながった。現在、当社ユーザーに「グーグル・アップス」を積極的に販売しているところだ。

「クラウド・コンピューティング」では、利用者はネットの向こうから好きなソフトを使える。クライアント/サーバー時代のマイクロソフトのような独占はありえず、企業同士の提携が成功のカギを握る。その意味でグーグルはベストパートナー。彼らはセールスフォースが企業向け事業で培った知識や経験を学べるし、われわれもグーグルのユーザー指向から学ぶことが多い。顧客からの反応も上々。CEOのマーク・ベニオフもつねに言っているが、われわれのゴールは「マイクロソフト・フリー」の世界だ。

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