「仕事に集中できない人」が陥りがちな思考 マインドフルネスで集中力を持続させよ

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上司に怒られて動揺して、「自分はよくミスをするなぁ」と落ち込んだとしても、自分が怒られて気持ちが落ちていることに「気づく」ことができればやるべきことに集中できます。また、大切なプレゼンの前、自分が緊張していることに「気づいて」その状況をありのまま感じることができれば、緊張も緩和して普段どおりに人前で振る舞うことができます。「気づく」とはマインドフルネスです。「気づき」を得ることであなたの意識を、今に集中させるのです。

イライラしているときや気分が下がっているとき、緊張してしまって気持ちが上ずってしまっているときなど、「自分は『今、ここ』を離れていた」と気づき、客観視できたとすれば必要なタスクに戻るという選択もできます。気づかなければそのままネガティブな感情や思考に支配され続けてしまいます。マインドフルネスはその支配に楔(くさび)を打つものなのです。

仕事でマインドフルネスが使える場面

では実際、仕事上においてマインドフルネスが効果的に力を発揮するのはどういった場面でしょうか。たとえば、大切な会議なのに家族や恋人のことを考えている。また、やらなくてはいけないことがあるのにネットサーフィンをしている。こんなとき気持ちや思考は「今、ここ」にはありません。

家族や恋人との時間のことを思い出して「あんなこと言わなきゃよかった」「あのときああしておけば」と後悔し、ネットサーフィンをしながら週末の予定を考えているかもしれません。「今、ここ」にはないもの(=不満や想像)を膨らませている状態です。仕事に集中できない理由はここにあるのです。

「今、ここ」を離れた心は過去や未来、非現実の世界をさまよいネガティブ思考に浸り、そこから抜け出すことを邪魔します。集中できない人は、ネガティブな記憶、不安定な未来に気が散ってしまっているわけです。つまり集中するためにはその意識を「今、ここ」に戻せばいいのです。

しかし、訓練していない人が「今、ここ」に気持ちを集中したところで、長続きしません。2~3秒気づいている状態が続けばいいほうです。

上司や取引先などにイライラしてしまったときを考えてみればわかりやすいかと思います。腹が立っても「自分は今イライラしている」と気がつき、マインドフルネスを実行できるときは、観的に自分の状況をみることで冷静になれます。イライラにも対処できるわけです。

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