「市民マラソン大会」激増の知られざる舞台裏 町おこしにつながるが競争はシビアに

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ランナーにとって、同大会はどんな位置づけなのだろうか。

「10キロの部」で完走した上條恵奈美さんとアレックス・アラウージョさん(筆者撮影)

「伝統のある大会で、フルマラソンの上位入賞者は米国ボストンマラソンに派遣されます。そうした競技性もあり、たとえば近隣の実業団駅伝のメンバーも個別に参加します。首都圏に近くて、この時期に開催される大会はあまりありません」(ランニング専門誌『ランナーズ』編集部・黒崎悠氏)

高倍率の東京マラソンの抽選に漏れた、一般ランナーが参加するケースもある。主催する自治体は知名度向上や税収増の期待が大きいが、それ以外の長所も見逃せない。

「大会で“街が一体化する”効果も大きいのです。たとえば中学生がボランティアを行えば社会勉強にもなる。元気な高齢者のボランティア参加は、本人や周囲への活力にもなります。一方、交通規制で当日のクルマ移動が制限されてしまいます」(同)

「市民力」はどこにも負けない

勝田全国マラソンの大会会長を務める、本間源基ひたちなか市長は次のように話す。

本間市長(筆者撮影)

「少人数から始まった大会ですが、現在は全国47都道府県(今年は46都道府県)から、2万人を超えるランナーが参加されるようになりました。ただし競技性は重んじており、安心して走っていただくのが開催地の使命です。そのため、道路整備などの開催準備は市の職員が参加し、当日は約2000人の市民ボランティアの方が協力してくれます」

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