「スマホ中毒の中高生」を救うただ1つの方法 親が「やめなさい!」と怒っても効果はない

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しかし、普通に暮らしていて “たまたま”に出会う確率は必ずしも高くありません。この“たまたま”を増やすには、出会う場を増やすしかありません。高校生は一般的に行動範囲が狭く、ワンパターンの生活をしていることが多く、心が引き込まれる刺激と出会う確率は日常生活の中では極めて低いことでしょう(もしかしたら、親にとって皮肉なことにスマホの中で子どもが自分の将来とかかわる出来事・刺激に遭遇することもあるかもしれません)。

何が子どもの心に引っかかるかはわからない

そこで、この“たまたま”という偶然を増やすための方法として、ざっと思い浮かぶありきたりの方法だけでも、次のようなことがあります。

・アルバイトやインターンをする
・親が出掛ける場に連れていく
・親の仕事の話をする
・小学生や中学生に勉強を教えさせる
・家族旅行の企画を一緒に考える
・長期休みのイベントに参加させる
・講演会に連れていく

これらは特別なアイデアでもなく、世の中で一般的に言われるような内容ばかりです。しかし、このようなことすらも実際にはやっていないことも少なくないのではないでしょうか。

何が子どもの心に引っかかるかはわかりませんから、さまざまな取り組みをされてみてはいかがでしょうか。すると、子どもの心に揺さぶりをかける出来事に出合う確率は高まります。あくまでも子どもに、勉強という意識を感じさせるのではなく、体験や遊びであるという意識を持たせることが重要です。やりたいこと、なりたいことが見つかると人間はスイッチが入り、そのために必要な手段としての、進学や勉強の必要性が感じられるようになります。

学校でも、生徒の心に揺さぶりをかけてくれるプログラムがあるところもあります。しかし、それが必ずしも生徒にジャストミートするとは限らないため、できれば家庭でも実践してみるとよいでしょう。

もし、このような出来事や刺激で、興味関心があることができ、心が向けば、これまで漫然と使っていたスマホが「目的」ではなく、「手段」となり、自分がやりたいことに使うためのツールになる可能性も出てきます。ツールになれば、自分のやりたいこと、自分を高めるために、スマホ以上の強い味方はいないでしょう。

高校生が出合っていない世界はまだまだたくさんあります。その一部だけでも知ることができる場があれば、人生のスイッチが入る可能性が高まり、勉強の必要性が認識できるようになるのです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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