40歳で結婚した女性が最後に残した「条件」 人生の折り返し地点で結婚するならどんな人

✎ 1〜 ✎ 93 ✎ 94 ✎ 95 ✎ 最新
拡大
縮小

ちょっと失礼な言い方かもしれないが、蓼食う虫も好き好きなのだ。良明さんは女性とのコミュニケーションが上手だとは言えず、外見にも気を遣っていない。ただし、そのことを自覚しており、「自分でもいいという女性とならば結婚したい。自分から断ることはない」という謙虚な態度を明確にしていた。婚活に疲れていた明美さんは、駆け引きをする必要がないことに深い安心感を覚えたと振り返る。晩婚さんには刺激よりも安心が重要なのかもしれない。

結婚までには小さなハードルもあった。良明さんの父親が「孫が欲しい」という理由から明美さんの年齢に難色を示したのだ。これには良明さんが反論した。

「僕は糖尿病。だから、子作りは僕のほうがむしろ問題を抱えている」

明美さんはちょっと複雑な気持ちになりつつも、身を挺してかばってくれた良明さんと一緒に歩んでいくことを決めた。今のところ2人の間には子どもができていない。明美さんは「いてもいなくてもどちらでもいい」ので高度な不妊治療を受けるつもりはないが、良明さんは子どもを希望している。

不妊治療のこと以外は新婚生活は順調だ。生活費は良明さんが明美さんの倍近く負担してくれる。経済面と精神面の安定度が格段に増したと明美さんは感じている。なお、生活面に関しては良明さんのほうが劇的に改善した。

「独身時代の彼は外食ばかりで、掃除や洗濯もいい加減でした。経営しているお店のことが心配みたいで、年中無休でお店に出ていたんです。でも、結婚してからは日曜日はほかの人にお店を任せて体を休めるようになりました。一緒においしいものを食べて、銭湯に行き、マッサージを受けるのが定番のデートコースです(笑)」

自分が求めているのはどんな人なのか

良明さんの外見が好みではないことについては「お互いにいい歳なんだから、(ルックスは)もういいでしょ」と笑い飛ばす明美さん。ただし、「自由に生き生きと働いている面白い人」という条件は大事に、支え合えるパートナーが欲しいと思って行動した。その成果が現在の穏やかな暮らしである。

結婚はゴールではなくスタートだ。独身時代から生活は激変し、しかもそれがずっと続く。だからこそ、一緒にいると安心と喜びをしみじみと感じるような結婚相手であってほしい。

自分が本当に求めているのはどんな人なのか。どんな人ではないのか。簡単なようで、答えるまでにいくつかの人生経験が必要だったりする。いろんな人と出会い、時には傷つきながら、その答えを探していくのだと思う。

大宮 冬洋 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT