グリーがついに正社員削減に着手 大阪オフィスを廃止。社員には退職を勧奨

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「ワンビリオン(10億人)が利用するサービスにする」と語っていたころ(2010年9月撮影)

「10億人が利用するサービスを作る」。グリーの業績が絶好調だった11年度半ば頃から、田中社長は盛んにこのメッセージを発していた。しかし、現在はこのメッセージを強調することはほとんどない。「インターネットを通じて、世界をより良くする」というコーポレートメッセージも、決算資料の末尾に小さく書かれているが、田中社長自身の言葉から発せられる数は明らかに減っている。

10億人の目標は海外事業の挫折により撤回するとしても、コーポレートメッセージまで鳴りを潜めるのはなぜか。それはゲーム事業以外の収益源を見いだすことができない、ジレンマに理由がありそうだ。

新規事業を生み出せるか

新体制のもと、田中社長直轄で手掛ける新規事業は、新規といっても目新しいものではない。主に広告事業、ベンチャーキャピタル事業、グッズなどのエンターテイメント事業を指すが、広告事業、エンターテイメント事業はゲーム事業の延長だ。ベンチャーキャピタル事業は資金運用であり、収益面の貢献は心許ない。

新規事業の創出という点では、ディー・エヌ・エーも苦戦が続く。12年10月に開始した無料通話・メールアプリ「comm(コム)」、13年3月に開始したスマホ向け音楽プレイヤー「Groovy(グルービー)」は直近のダウンロード数を公開していないほど、成果が出てない。

元はグリーがSNS、ディー・エヌ・エーはオークションサイトから始まっただけに、ゲーム事業へ過度に依存した状況は本来望ましい構図ではない。新しいサービスを生み出すことが、両社には求められている。
 

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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