フェラーリ「F430」今でも買える名車の魅力 2004年登場モデルだがなお色褪せない

拡大
縮小

さて、そんなF430の実力を多くのスポーツカー・ファンに味わってほしいところだが、市場の状況はどうだろうか。

主要な中古車サイトを覗くと、全国を探せばF430の台数はそれなりに多いことがわかる。2006~2008年が中心で価格は1200万~1500万円台に分布している。

走行距離が短いものが多い

フェラーリの中古車で特徴的なのは、基本的に生活の道具として使うものではないので年式が進んでいても走行距離が短いものが多いことだ。露天駐車ではイタズラが心配なので、車庫保管のものも多い。それゆえ内外装の程度は一般的に良好なはず。10年落ちとはいえ、新車(488GTB)の半額程度で入手できるとなれば買い得感が高いように思われる。

F430の足回り

逆に内外装が相当キレイでなければ、機関も含め手荒な扱いを受けていたことも想像される。気をつけたいのは事故の履歴があるかどうかと、改造の結果としての不調やエンジン回りのオイル漏れ、F1ギアボックスのクラッチの減りだろう。改造について、これはフェラーリに限らずだが、国土交通省が定めた基準に沿わない場合は正規ディーラーが入庫を拒否するケースが最近の法改正で増えているので気をつけたい。F1ギアボックスのクラッチの消耗については、診断機を接続すれば状況が把握できるそうで、交換する場合はかなりの出費(100万円弱)を覚悟しなければならない。

走行距離が短いクルマでも安心はできない。街乗りばかりを続けていると高性能車ゆえエンジンルーム周辺に熱がこもりやすく、それがコンピューターの不調や樹脂製部品の劣化を招くことがあるからだ。美術品のように美しくても、快調に走らせようと思えば製造から10年近くを経たクルマである。保証プログラムのあるお店を選ぶか、あらかじめ整備費の余裕をみた資金計画をこころがけたい。

真田 淳冬 コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さなだ きよふゆ / Kiyohuyu Sanada

メーカーはじめ自動車業界に長らく籍を置き、1950年代から現代に至る世界中のさまざまな乗用車をドライブした経験を持つ。歴史、経済、技術といった分野をまたぐ広い知見を買った東洋経済オンライン編集部が独自に著者として招いた。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT