ZOZO、「スーツ」と「PB」で挑む世界一の野望 スタートトゥデイ前澤友作社長が激白

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――ゾゾタウンの事業には限界はないのですか。

アップルが良い例で、自分たちで製品を作りながら、プラットフォーマーとしての存在を確立している。iPhoneが売れればiTunesも流行るし、iTunesに良い楽曲が集まればiPhoneがほしくなる。われわれも「ファッションのアップル」ではないが、自分たちの商品もあり、プラットフォームもしっかりとある、というイメージを目指している。

「今はアクセルベタ踏み状態でやろうかな」

――前澤社長はブレーキとアクセルの使い分けがうまく、ここぞというときにアクセルを踏むと経営幹部の方から以前聞きました。今はどんな状態ですか。

服がもしかしたらネットで売れるなと思っていたのが20年近く前。ちょっとやってみたら反応がとても良くて、これはいけるということで始めて、今に至る。そのときと似た感覚が今現在はあって、「これはいける」という感触があるのでアクセルを踏んでいる。

この数年は、アクセルコントロールをうまくしながらカーブをコーナリングして、自分の考えたストーリーを調整していた。今は信じる新しいものが見えて、直線をベタ踏みで行っても怖くない。小石があってガタガタっとなっても、わき目も振らず、ベタ踏み状態でやろうかなと思っている。

ぴったりの服を自分も欲しいし、ぴったりの服を求めている人が世界中にいる。どうにもそれを実現できなかった。

”ぴったりの服なんてお届けできるわけがない”というジレンマがずっと続いていた。だが、ついにこの何年かで研究開発した結果、その両方を解決する手段を見つけて、一直線になった。だったらこの道路をべた踏みで突き抜けるしかないだろうという状況が今です。

――PB事業の課題は何ですか。

国内は顧客基盤もあって評価して頂いているので、あとはちゃんとしたゾゾスーツや商品を提供できればいい。何よりのチャレンジは海外です。ゾゾタウンなんて誰も知らないし、ゾゾスーツと言っても「SFの世界の話じゃないの」とみんな思っていて、これを認知いただくには相当なチャレンジが必要になる。今はロサンゼルスとベルリンに現地法人があり、シンガポールでも準備を進めている。まずはその3都市を中心に、世界中でどんどん広げていきたい。

――日本発のブランドが世界を変えるには相当な労力と時間が必要では?

意外とそうでもなく、すってんころりんファッション業界を変える可能性があるかもしれないと思っている。世界中の誰もが、自分にぴったりと合うデニムパンツを必要としているのに、実際に売っている人も手段もない。やっと見つけたという感じだ。ただ、最初にそれを認知してもらうために相当な努力が必要になる。

――現在、国内1番手のアパレル企業は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングです。

まだまだ大先輩で背中を見ている状況だが、早い段階で並びたいし、超えられるチャンスがあるのだったら超えていきたい。

IT業界は若い方々が塗り替えているが、ファッション業界では昔ながらの重鎮の方々が世界を牽引している。そういうところに若い企業が入っていくべきだし、自分もチャレンジしたい。30~40代では世界規模でビジネスを展開している人があまりいない。新しい世代で新しいマーケットに変えたいという責任感はある。そのきっかけに、ゾゾスーツがなるのではと期待している。

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