「フード産業」を人気業種にすることは可能か クックビズが目指していることとは?

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小林賢治(シニフィアン共同代表):飲食業界は開業も廃業も多いイメージがあるんですが、新しい店ができたときなど、開拓営業はされているんですか?

藪ノ:もちろん開拓はしますが、上場もあって認知度が向上してきているのでインバウンドの比率が高まってきています。あとは業界としてリピートクライアントが多いのが特徴です。現状の店舗が充足したとしても、新店を出すために余剰人員を抱える必要が出てくるので、つねに人を探し続けている企業が多いですね。

KGI「転職成功者数」の最大化に効く、複数サービス

村上:店舗の情報をデータとして集めるのは難しいと思うんですが、どのレベルまでをデータとして取って、どのように蓄積されているんですか?

藪ノ:マッチングに必要なデータは、ヒアリング項目として何十個と指定されているので、その情報はひたすら集め続けています。加えて、採用後にもヒアリングを行って、実際どういったお店なのか、正味の労働時間はどれくらいなのかというような実態もデータとして溜めています。

朝倉:飲食店に特化した人材紹介業は、ほかにもあるにはあると思うんですが、その中で御社が異なるところはどこなんでしょう。

藪ノ:求人サイト系のビジネスはサイトを立てて営業を何人か雇えば、それなりにやれてしまうと思います。ただ、求人サイトを単体で運営しようとすると、求職者からの応募数を稼ぐために応募に必要なデータ項目を削っていく事になります。そうしないと、入力が面倒で、求職者に嫌がられてしまいますからね。応募時には名前・電話番号・メールアドレスだけ入力すればよい、とか。そうなってしまうと、飲食店からすればその応募者がどのような人かわからないので、面接する価値がどれくらいあるかわかりません。そうなると、マッチングの確率は低くなります。

われわれは人材紹介をメインとしているので、求職者は面談を経て転職に必要なレジュメがすべて埋まった状態になっています。そのレジュメがあれば、企業は時間がない中で誰を面接に呼び込んで誰にパワーを割いていくべきかがわかりやすくなります。われわれのマッチングビジネスの中で、人材紹介で決まるのは実は非常に少ないんです。それ以外は公募やスカウトによって決まっているのですが、それはレジュメがあるから可能になるわけです。

この業界では、エージェントに頼りきりではなく自分でも探したいという求職者も多いですし、転職成功者数の最大化がわれわれの戦略なので、人材紹介をメインとはするものの、複数のサービスを用意して企業にもユーザーにも回遊してもらうようにしています。飲食特化型でエージェントや求人サイトを運営している会社はたくさんありますが、われわれの強みはそうやって複数のサービスを回遊させられることなんです。飲食業界の採用課題というのは非常にハードルが高い課題なので、1つのサービスだけでは解決できないと思っています。だからこそわれわれは複数のサービスで企業の課題を解決するという方向性でこの業界にコミットし続けているんです。

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