北朝鮮と対話できると思っている韓国の末路 「オリンピック停戦」はいつまで続くか

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北朝鮮との合同チームを結成するなど、韓国・文政権は北朝鮮に対する「譲歩」の姿勢を見せている(写真:Fabrizio Bensch/ロイター)

2月9日に開幕する韓国・平昌冬季オリンピック。開幕式に日米韓の「3者」が出席するこの瞬間は、3つの「停戦」の幕開けとなるだろう。

1つ目は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、先週ギリギリになって開幕式への参加を発表した日本の安倍晋三首相との間の停戦である。2つ目は、韓国政府とマイク・ペンス副大統領が代表するトランプ政権のとの間の停戦である。

そして、最も明らかなのは南北朝鮮間の停戦である。両国は統一旗の下で大会に参加し、北朝鮮側は、かつてナンバー2ともいわれた崔竜海率いる高官代表団を送るのではないかといわれている。

安倍首相が開幕式に参加する理由

しかし、ここで重要なのは、この3つの停戦がいつまで続くのかである。

日韓の緊張関係は今に始まったことではなく、驚くことでもない。 文大統領は、北朝鮮の脅威に対応するために協力関係を強化し、戦争の歴史問題から生じる問題と広い意味での関係を分けて考えたいという望みを強調した。

しかし同時に、慰安婦問題を解決するための2015年12月の合意に、つねに反対しており、彼の選挙綱領の1つとしていた。文大統領は、自身の左派政治基盤と、日本、そしてこの合意を推進した米国との良好な関係を維持する必要性の両方のバランスをうまくとろうとした。

安倍首相もまた、右派からの圧力、特に自民党内からのものと、2つの北東アジア同盟国間の安全保障協力の強化を求める米国からの声を反映した実質的な結果を出すことに力を入れてきた。こうした中、安倍首相は、文大統領と韓国の行動に制裁を与える方向に向かっているかと思われていた。実際、日本の外務省高官たちは、先週末までは、安倍首相は開幕式に出席しない、と外国人記者たちに伝えていたのである。

ここへきて一転、参加を決めた背景には何があるのだろうか。ベテランの日本の政治記者たちから聞いた見解の1つは、安倍首相は、特に2020年の東京オリンピック開催国となったからには、平昌の開会式を欠席することはできないということは初めからわかっていて、これは彼の単なる演技だったということだ。文大統領に最大限の圧力をかけるために、また自身の支持者の反韓感情を利用するためにギリギリまで待っていたというのである。

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