「100のうち97の投資信託」がダメな理由

「販売手数料ゼロのETF」なら良い投信?

最近はETF(上場投資信託)など、インデックス運用の投資信託が個人の間で人気を集めるなか、「投資信託のコストは、安ければ安いほど良い」というのが半ば常識化しています。確かに、投資家サイドから見て、リターンを最大化させるのであればそのとおりです。

運用管理費用の内訳が良い投信選びの判断基準の1つに

しかし、運用管理費用の一部を収益源としている投資信託会社は、運用管理費用が下がれば下がるほど、投資信託のリターンを支える運用業務の充実化に、経営資源を割けなくなります。最初にカットされるのが調査関連費用、次が人件費です。コスト削減の行きすぎがリターンの低下につながるような事態になったら、それこそ本末転倒でしょう。

国内外の株式などに投資するアクティブ運用の投資信託については、販売金融機関の代行手数料を引き下げれば、その分運用管理費用の料率をかなり下げることができます。たとえば、前出の例で言えば、運用管理費用が年率1.6%で、信託銀行の取り分が年0.1%、投資信託会社が0.75%、販売金融機関の代行手数料が0.75%だとしたら、代行手数料を除いた部分の運用管理費用の料率は0.85%ということになります。

しかし、販売金融機関は現在も、できるだけ自分たちの取り分を増やそうと必死です。某大手投資信託会社が運用している、世界の割安株で運用する投資信託の運用管理費用の料率(手数料)は、実に奇妙です。税抜きの料率は年1.120%で、その内訳は投資信託会社が0.4%、信託銀行が0.02%、販売金融機関が0.7%というように、販売金融機関に大きく傾斜配分されています。

興味深いのは、このお互いの取り分は、純資産総額が250億円未満のものだということです。250億円以上になると、投資信託会社の料率が0.4%から0.3%に引き下げられ、販売金融機関の料率が0.7%から0.8%に引き上げられるのです。つまり、この料率設定は、販売金融機関にインセンティブを与えているとしか考えられません。

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一方、「販売時手数料が無料(ノーロード)」の投資信託の方が安くていい」という「常識」も時には疑ってかかるべきです。本来もっと安くあるべき運用管理費用が相当高くなっている投資信託があるからです。私が「ほとんどの既存の投資信託には問題がある」と言っている理由は、このようなところにあります。

こうして見ていくと、金融機関が「フィデュシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営に関する原則)宣言」をしている意味とは何か、当事者は、もう一度考える必要があります。投資信託を選ぶ基準はさまざまですが、運用管理費用も判断基準のひとつです。少なくとも、投資信託会社と販売金融機関の料率が同一か、販売金融機関の料率が投資信託会社のそれを上回っている投資信託は、再検討の余地があると言っても良いと思います。

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