グーグル中国攻略の要、グーグル副社長、カイフ・リー氏を直撃!

グーグル中国攻略の要、グーグル副社長、カイフ・リー氏を直撃!

「グーグルを潰してやる!」。2005年夏、マイクロソフト副社長のカイフ・リー氏がグーグルに引き抜かれたと知り、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOはそう怒鳴ったという。音声認識技術の開発で知られる世界的なコンピュータエンジニアであるだけでなく、決断力に秀でたビジネスマンでもあるカイフ氏。グーグルが獲得に1000万ドルを投じたとも伝えられるIT界の逸材は、グーグルの次の10年にどう寄与するのか。

--グーグル移籍後の中国での成果を教えてください。

まず、中国語での検索エンジンの水準が格段に上がりました。3年前、グーグルは中国語の検索エンジンとしては問題が多くて。たとえば検索できない中国語サイトがあったり、好ましくない検索結果が上位にあったり。そこで米中共同で対策チームを結成し懸命に改善してきました。今は競合エンジンより優れているだけでなく、グーグルの英語の検索結果よりも精度が高いと自負しています。また以前はいわゆるウェブ検索しかなかったのですが、今はニュース、地図、画像など13種類のサービスを一度に調べられるユニバーサル検索も展開しています。

--そのうち、中国限定のサービスはいくつありますか。

基本的には他国と同じですが、音楽検索は中国だけです。中国では競合企業(百度)が音楽の無料ダウンロードサイトを表示するMP3検索を普及させましたから、中国では音楽検索は欠かせないサービスなのです。音楽のデジタル化は世界的な趨勢ですが、こと中国においてはデジタル化が音楽会社の収益に結び付かない。現状、中国で儲かっている音楽会社は皆無。悲しい状況です。

ただユーザーが無料に慣れている以上、ある程度はそこに適応せざるをえない。そこで、音楽会社と(有料ダウンロードを中国で手掛けていた)音楽サイトの巨鯨音楽網と3者で、広告モデルを作りました。楽曲をダウンロードする際に出てくる広告の収入を3者で分け合うのです。

--先進国では音楽の有料販売が普及しています。米国企業であるグーグルが、中国限定でも無料ダウンロードを手掛けるのは難しい決断だったのでは。

私たちはこのビジネスモデルを無料ダウンロードだとは思っていません。ただ音楽会社がこの手法を受け入れるかどうかには、確かに大きな懸念がありました。結果として多くの音楽会社から関心を持ってもらえたのは、中国では(広告収入という)小さい商売から積み上げざるをえないという結論に至ったからでしょう。現在のところ、中国以外で音楽検索をやる予定はありません。

--中国での市場シェアをどう評価しますか。

過去2年でシェアが倍増した事実は、中国のユーザーが私たちの検索結果が優れていると認めた証左です。喜ばしい。ただ、(3割以下にとどまっている点は)まだ多くの人がグーグルのよさを知らないという事実を物語ってもいます。中国のユーザーは他国と比べ年齢層が低く、娯楽性の強いものやソーシャルネットワーキングのようなサービスをより好みます。一方で、検索結果の精度にはあまりこだわらない。また、彼らの多くは(北京や上海ではなく)小さな地方都市に分散している。どうやって彼らに「グーグルで検索してみて」と訴求するか、これにはまだまだ長い時間が必要です。

--裏返して言うと、ライバルの百度は地方の若者ユーザーに強い。

他社の分析はしたくありませんが、百度は確かに娯楽性の高い検索エンジンです。しかしグーグルは今後も、たとえばネットゲーム検索だとか若者向けの娯楽に特化したサービスをやるつもりはありません。何をやるか、その例としては四川大地震の際の「親人検索」です。これは知り合いの名前を入力すると、その人の安否や、入院先の病院などがわかるもので、ユニバーサル検索の一環です。単に情報を引っ張ってくるというのではなく、ユーザーの利益に結び付くように情報を整理するのがグーグルの役目です。

--親人検索は中国で開発したのですか。

そうです。しかも現場のエンジニア自らが発案し、たった1日で製品化しました。グーグルは中国でも、自らの独創的なアイデアを世に送り出したいというエンジニアにとっては理想的な職場です。

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