卓球人気沸騰!競技の課題と未来のカタチ 盛り上がる渋谷の「卓球ブーム」に迫った

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『PONG!PONG!』には、T4が導入した「トラッキングシステム」を扱うデータスタジアムの画像認識技術を使用。ただ、開発当初は、小さくて打球スピードの速いピンポン球を捉え、リアルタイムでゲームに反映させることに苦戦。ブロックが壊れる間で遅延が起きてしまっていたという。

しかし、アカツキの技術力によって課題を打破。ボールの軌道からあらかじめ着弾地点を予測し、バウンドすると同時にイベントを発生させることに成功した。この技術は、すでに特許も申請しているという。

ライブエクスペリエンス事業の体験プロデュースチームリーダーであそびラボ所長の佐藤永武(えいぶ)氏(編集部撮影)

開発に至った経緯を、あそびラボの佐藤永武所長はこう話す。

「卓球って、上級者と初心者で隔たりある気がするんです。その両者で打ち合うと、どうしても心の底から楽しめない部分があるのかなと。このゲームではあまりスキル格差が生まれないように、あえて設計しています。楽しくゲームをやる感覚で、気軽に卓球に触れられる。そうして卓球人口を増やすのが、目指すところです」

実際に日本代表クラスの選手が、『PONG!PONG!』で素人に負けたこともあったという。それほど競技の実力に関係なく卓球をすることができるのだ。これは、今後の競技人口増加に向けて、卓球への新しい入り口になる可能性を感じさせるものだった。

違う視点から可能性を探ると、様々な活用方法が浮かび上がる。例えば、体験型エンターテインメントにおける“演出”だ。2016年の9月に開幕した男子バスケットボールのプロリーグ「Bリーグ」では、開幕戦でプロジェクションマッピングとLEDビジョンを使用し、観客を盛り上げる演出で話題となった。

佐藤所長と今回の開発を担当したエンジニアの柿崎貴也氏(左)(編集部撮影)

その事例になぞらえ、『PONG!PONG!』のトラッキング技術をTリーグや東京五輪・パラリンピックの開会式に用いる。

そうすれば、今までにない新しいエンターテインメントを世界に披露することも夢ではない。このゲームが示す未来のカタチは、すぐそこにあるのかもしれない。

卓球選手の活躍で盛り上がりを見せる渋谷

お酒を飲みながら卓球を楽しめるのは、都内だと中目黒の「中目卓球ラウンジ」が卓球バーの老舗として有名だ。最近では、渋谷の街でも卓球ができるレストランやバーが増えている。

そのひとつが、「渋谷卓球倶楽部 PINGPONG×Café」。通称「渋卓(シブタク)」と呼ばれ、知名度の高い卓球スポットだ。体育館の一角のような広々としたスペースに、卓球台を15台設置。2012年には店内を改装しお酒を飲みながら楽しみつつ、本格的に卓球をやりたい人も満足できる場所になった。

近年の卓球人気について、同店の石田一樹副主任はこう話した。

「2016年のリオデジャネイロ五輪で日本人選手が活躍して以降、さらに卓球人気が上がったと感じています。お客様の来客数が前年比で1.5倍も増えました」

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