路面電車「次世代型」でも法律は旧態依然だ 車両の長さや速度の制限、再検討の必要は

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新たな都市交通として注目を集めるLRTは、法令面では「軌道」に分類される(写真:west223-1000 / PIXTA)

モータリゼーションの影響により、最盛期は全国67都市で走っていた路面電車は19事業者にまで減少した。だが、最近ではそれと逆のモーダルシフト(大量輸送機関への転換)により路面電車が見直され、LRT(Light Rail Transit・「次世代型路面電車」)に対する関心が高まっている。

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栃木県宇都宮市では、2022年3月の開業を予定しているLRT「宇都宮ライトレール(仮称)」の軌道運送高度化実施計画が2016年9月に認可された。宇都宮ライトレールは、旧JR線の線路を活用して開業した富山ライトレール(富山県)のような既存鉄道路線の活用や既存路線の一部延伸と違い、まったくゼロからの軌道新設であり、その行方が注目される。

「軌道」と鉄道はどう違うのか

LRTは、法令面では軌道法にいう軌道に分類されるが、この軌道法(関係法令含む)は軌道に対し一般の鉄道とは異なる規制を設けている。たとえば以下のような例である。

一般的な鉄道では、閉塞(路線を複数の区間に分けて一区間には一列車しか入れないとするもの)を設けて列車の追突や衝突の危険を回避する。しかし軌道では単線区間には原則として閉塞類似の保安区間を設ける必要があるものの(軌道運転規則第66条)、複線区間では不要である。

追突事故は先行車両との距離による速度制限や停止位置などの規定により防止し(軌道運転規則58条・軌道運転規則61条)、車両が他の車両に追従して運転されること(いわゆる「続行運転」)を認めている(軌道運転規則66条)。これは路面交通機関ゆえバスと同様の道路交通法に準じた走行を求められているからである。またバスに比べ1両ごとの輸送力が大きいので輸送力確保の手段にもなる。

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