コインチェックが浮き彫りにした「問題点」 手元流動性を巡る不透明感も浮上

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前日に発生した仮想通貨NEMの巨額流出騒動で、コインチェックのセキュリティの甘さや財務の不透明性も浮上。仮想通貨取引所の「問題点」が浮かび上がった。写真は1月26日の深夜に行われたコインチェックの会見(写真:東洋経済)

[東京 27日 ロイター] - 外部の不正アクセスで仮想通貨取引所大手コインチェックから巨額の仮想通貨が流出した。同社は金融庁に取引所としての登録申請中だが、4カ月が経過しても登録できていない。その背景として、匿名性の高い仮想通貨がネックになっているもようだ。

また、今回の流出騒動で、セキュリティの甘さや財務の不透明性も浮上。仮想通貨取引所が抱える「問題点」がくっきりと浮かび上がっている。

匿名通貨とマネロンのリスク

われわれの認識とかけ離れている――。昨年12月、金融庁幹部はこう話し、苛立ちの表情を浮かべた。矛先はコインチェックの12月1日のプレスリリース。「仮想通貨交換業者への登録状況のご報告」とのタイトルで、金融庁との間で「最終調整を行なっている」とした。

金融庁は仮想通貨取引所の登録制を2017年4月に導入。コインチェックは、導入前から仮想通貨の交換業を行なっていたため、「みなし業者」として営業を継続できる。

同社は同年9月に登録を申請した。だが、通常なら約2カ月で終了する審査が、4カ月を経過しても終わらず、登録に至っていない。「コインチェックは大手なのに、いつまでかかるのか」(業界関係者)との声が出ていた。

審査が長引く一因とみられているのが、同社が扱う「匿名通貨」の存在だ。匿名通貨は、送り先のアドレスをワンタイムアドレスにしたり、取引時のデータシャッフルなどで、送り手と受け手が誰なのか追跡できなくなる特徴がある。

ビットコインはブロックチェーンにアドレスが残り、アドレスから取引をたどることができるが、匿名通貨はマネーロンダリング(資金洗浄)や税金逃れに利用されやすいデメリットがある。

米国に拠点を置くサイバーセキュリティー会社・エイリアンボルトは今年1月、匿名通貨「モネロ」の採掘コードをインストールし、採掘した通貨を北朝鮮の大学のサーバーに送る仕組みのソフトウエアを発見したと明らかにした。

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