「創造的人生の時間」は10年なのか?

バイオベンチャー社長、窪田良氏インタビュー(下)

 米国の地で、ベンチャー経営者として活躍する一人の日本人がいる。それがシアトルに本社を置くバイオベンチャー企業、Acucela社の窪田良社長兼CEOだ。
 窪田氏は、眼科専門医として勤務した後、米ワシントン大学に移り、独自の細胞培養技術を発見。2002年4月には、「失明の恐れがある患者のために安全な新薬を開発し、世界に広める」という目標を掲げ、Acucela社を立ち上げた。
 10社に1社しか残らないと言われるバイオベンチャー業界で、Acucela社はなぜビジネスを拡大し続けられているのか。イノベーションを生むために、どんな工夫をしているのか。イノベーションの極意を窪田氏に聞いた。

※ インタビュー(上)はこちら:

イノベーションは、どうすれば生まれるか

フェイスブックに「悪いね」ボタンはない

――窪田さんは医者から経営者にキャリアチェンジしていますが、医者の道を離れることに不安はなかったですか。

多くの人は、今までの安定したものを捨てて、別のことをやることをリスクと認識します。しかしアントレプレナーの人は、必ずそれをチャンスだと考えます。コップに半分水があるのを、「半分しかない」ととる人と、「半分もある」ととる人の違いです。

僕の場合、起業はものすごく大きなチャンスだったわけです。起業して、多くの人を巻き込んでチームを作れれば、グローバルにインパクトを与える薬を創れる可能性が広がりますから。

――窪田さんのようなポジティブな精神を持つ人を、どうすれば増やせますか。

やっぱり「楽観的になることを許す社会」を創ることでしょうね。

社会によっては、楽観的に考えていると、「考えが甘い」「ダウンサイドを十分考えていない」「世の中そんなに甘くない」という感じで批判されてしまいます。そういうふうにポジティブシンキングの芽を潰すのではなく、「おお、それ面白いね。うまくいかないかもしれないけどやってごらん。もしかしたら世界が変わるかもしれないよ」と周りの人が励ますことが大事です。

フェイスブックに、「いいね」ボタンはあっても「悪いね」ボタンはないのと一緒です。「いいね」と言うか「何も言わない」かで、相手に意志は伝わります。返事がなければ「それほどよくなかったんだな」と思えばいい。わざわざ「悪いね」と言う必要はない。いいものを「いいね」と言ってあげることが、社会として大切です。

イノベーションを起こしたり、今までにない価値を創造したりする人は、社会に必要ですし、その人がいるおかげで、回り回ってみんなが幸せになれるという実感を持ってほしい。

そもそも、他人を励ますことは、ある意味で自分への励ましにもなる。社会、コミュニティというのは、みんながお互いつながりあっているわけだから、コミュニティメンバーのパフォーマンスを高めれば、巡り巡ってその恩恵はコミュニティメンバーである自分にも返ってくるわけです。だからそうしたポジティブシンキングをどう促進していくかが重要です。

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