「上司のお供出張」に疲弊する30代女性の叫び 心の中に渦巻く「なぜ私が?」の疑問

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それから、サポート業務の出張がつらいと感じることについてですが、それについても、同じようなことが言える気がします。同行の指示が来たら、出張の狙いや自分の役割、その必要性などをきちんと確認してみるのです。「お供」だけが主目的なら、現状で抱えている業務などを理由に、やんわり断ることもできるでしょう。単なる「お供出張」には行きたくないと思っていることもわかってもらえるかもしれません。

私も、私が主業務の出張に、メンバーを同行させることがありましたが、サポート業務が目的ではありませんでした。現地のキーマンと面識を持つことだったり、コミュニケーションの仕方を学んでもらうことだったり、その後の仕事への接続が想定されればこそ、同行させたのです。

ただ、事前に、同行目的と得てもらいたいことをしっかり話すように心掛けてはいました。それは、私自身が、「どうして私がやるのか」をきちんと理解したほうが、「まぁやってみればわかるよ」などと言われるより、ずっとモチベーション高く仕事に向かえるタイプで、部下も同じタイプが多かったからです。

同様に、上司は、「なぜ、あなたを同行者に選んだか」を、きちんと伝える義務がある、と私は思います。そして、あなたも改めて上司にそれを問うてみても良いのではないかと思うのです。私は、きっとあなただからこそ同行させたいという理由がちゃんとあるような気がしますよ。「なぜ私がやるべきのか」「その業務の意味・意義は何か」が確認できれば、出張に付随する、もろもろの不満も我慢できたりあるいは楽しみに変えられたりするかもしれないし、「それでも、私は長時間拘束の出張はなるだけ避ける働き方をしたい」となるかもしれません。

「苦痛です」と言うだけでは、損をする

出張も業務ですから、「苦痛です」という理由だけで断るのは難しいでしょう。上司との相互理解、目的や意義確認の努力をしても、やっぱり納得できなければ、何か理由をひねり出してみるのは? 思い込みが激しいだけの上司なら、「体調がいま一つ」とか「家庭の事情で」とかの理由でも、勝手に深読みして「それは悪かったな」となるかもしれないですよ?

そして、今後のあなたのために。もし、できるなら、たとえば、「いいなぁ」と発言する同僚の真意、家族がいて出張の依頼がない同僚の気持ち、あなたばかりを同行させようとする上司の思いなど、想像力を働かせて、あなた自身も自分と異なる価値観への理解を心掛けるようにしてみてください。今のあなたの口ぶりで、「苦痛なので行きたくない。全部自分が損してる!」と主張すると、本当に損してしまう気がしますから。

上司と部下に限らず、「相互理解」がさらに重要な時代になってきたなと感じます。あなた自身を理解してもらう努力、自分以外の誰かを理解する努力、双方必要なのだと思います。あなたの苦痛も、その努力で、少しは和らぎますように。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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