寓話・北風と太陽には「北風勝利」編もある スピーチのネタに使える、古今東西の教訓

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寓話の目的は教訓や真理を伝えることである(写真:Avosb / iStock)
寓話という言葉を『第六版 新明解国語辞典』(三省堂)で引くと、「登場させた動物の対話・行動などに例を借り、深刻な内容を持つ処世訓を印象深く大衆に訴える目的の話」と書かれている。イソップ寓話や仏教寓話、荘子の寓話などが代表的なものである。
寓話の目的は教訓や真理を伝えることであり、お話そのものはそれらを届けてくれる“運搬手段”である。別の言い方をすると、寓話においては教訓や真理こそがその核であり、お話はそれらを包みこむ“外皮”である。なぜそのような二重構造をとるのか。教訓は苦く、真理は激しいので、そのままでは食べられない。ならば、楽しいお話で教訓や真理を包んで読者に届けようというわけだ。
本稿では、拙著『ものの見方が変わる 座右の寓話』から抜粋し、寓話を「学校の授業」や「会社の朝礼」で使える話材として紹介する。長い寓話は2分程度で話せるような内容に要約してある。本稿が寓話の面白さを知るとともに、自分の仕事や人生、地域・国・世界の進むべき道について考える一つの手がかりになれば、幸いに思う。

北風と太陽

北風と太陽が彼らの力について言い争っていた。議論ばかりしていても仕方がないので、勝負をしようという話になった。

最初の勝負は、旅人の帽子をとることだ。はじめに、太陽が旅人を照りつけると、旅人は日差しを避けようと帽子を深くかぶり、けっして脱ごうとはしなかった。今度は、北風が思いっきり強く、ビューと吹いた。すると、旅人の帽子は簡単に吹き飛んでしまった。

次の勝負は、旅人の上着を脱がすことだ。はじめに、北風がありったけの力で、ビューッと吹きつけた。しかし、旅人はふるえあがって、着ものをしっかり両手で押さえるばかりだった。今度は、太陽が旅人を照らした。すると、旅人は上着を脱いで、気持ち良さそうにのびをした。

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