病院長らが徳田ファミリーに反旗 特捜部による強制捜査で揺れる徳洲会

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徳田虎雄氏が病気療養中の湘南鎌倉総合病院

「生命だけは平等だ」という徳洲会の理念のもと、離島や僻地医療、救急医療などに力を入れてきた徳洲会グループだが、日本最大の医療法人グループとなった今も、徳田虎雄ら徳田ファミリーらが経営の一切を支配する私物化が続いていた。だが、徳田虎雄氏の二男・毅・衆議院議員(自民党・鹿児島2区)の公職選挙法違反(運動員買収)容疑で、東京地検特捜部の強制捜査が入ると、マスコミ報道も激しくなり、報道を通じて私物化の実態が明るみになっていった。

実は28日、29日の両日、経営セミナーが開催されなくても、関東と関西の病院長の有志が自発的に集まって会合を持つはずだった。28日に大阪、29日に東京でそれぞれ病院長たちが集まって情報・意見を交換する計画だったが、鈴木理事長が事前に察知。「理事長が許可していない会合を勝手に病院で開くとは何ごとか。中止しろ」といわれ、あっさり潰されたのだという。

求められる経営の刷新

それでも、有志16名が集まって決起した。ある病院長は「病院は患者のためにある。あまりに酷すぎる徳田ファミリーらの対応は許し難い。再生のために立ち上がるときだ」。今後の焦点は、こうした気概をみせる一部の病院長らに、グループのほかの病院長らが応援に回るのかどうかだ。また、徳田ファミリーが病院長らの反旗に対しどういう動きをするのかも注目される。

徳田虎雄氏の側近中の側近だった能宗克行元専務理事の懲戒解雇によって明るみになった徳洲会の内紛は、東京地検特捜部の強制捜査を機に、グループ全体へと広がっている。医療機器や医薬品などを仕入れ、病院に販売している「株式会社徳洲会」(社長はファミリーの長女)が強制捜査や事情聴取によって平常どおりの営業をできない事態に陥っているといわれ、グループ医療活動事態にも影響が出かねないという。一日も早い経営体制の刷新が求められている。
 

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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