【産業天気図・外食】食材高、ガソリン高続き消費者の生活防衛の余波で需要減退。減益修正続き雨模様に

予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月

外食業界は消費者の生活防衛の余波を受けて2008年度前半の業界天気図「曇り」から一段悪化、今年後半は「雨」となりそうだ。09年前半もこの基調は続く。相次ぐ食材の値上げやガソリンの価格高騰で消費者の節約志向は強まる一方だ。

「週刊東洋経済」が8月に行ったインターネット調査でも、1000人の回答者のうち約250人、つまり4人に1人が外食を減らしているという結果が出た。各社メニューの見直しや値上げで食材費や人件費を吸収しきれず下方修正も相次いでいる状況だ。
 
 業界団体の日本フードサービス協会が調べた08年7月の市場動向調査(既存店を含む178社、2万5470店)によると、既存店の売上高は値上げやメニュー改訂の効果で前年同月比0.2%増とほぼ横ばいを維持しているものの、客数は約1%減と前年同月比を割り込んでいるのが実情だ。夏場は年末年始とともに外食産業の書き入れ時にもかかわらず、である。
 
 最も苦戦しているのがファミリーレストランだ。なかでも厳しいのが06年にMBO(経営陣による買収)で現在株式非公開のすかいらーく。創業者の横川竟社長は、経営立て直しのスピードが遅いことを理由に出資者のファンドから迫られ社長を退いた。現在は谷 真新社長のもと立て直しを図る。ロイヤルホールディングス<8179>も上半期の既存店売上高が前年同月比5.6%減と苦戦、客数は7.6%減に沈んだ。直近の8月はそれをさらに下回っている。人件費等経費の抑制や、女性客向けの新商品を投入するものの、高収益のホテル苦戦も重なって今08年12月期は営業利益が前期半分の大幅減益となりそうだ。

不況には強い業態と言われる牛丼業態の吉野家ディーアンドシー<9861>でも、今09年2月期も子会社の不振が足かせとなり期初計画に対して減額となる公算が高い。前期の牛丼終日販売効果が一巡しているうえ、持ち帰り寿司の京樽や昨年末に買収したラーメン業態の不振が響いている。ゼンショー<7550>の今09年3月期は牛丼のすき家は底堅いものの、郊外店主軸のファミリーレストラン・ココスやパスタ業態のサンデーサンが想定以上に苦戦し期初計画比大幅減額、前期比減益となりそうだ。

一方、居酒屋業態は好不調が分かれる。ワタミ<7522>は不採算店整理が一巡、メニューの見直しも効き堅調だが、大庄<9979>は苦戦している。マグロ等魚類の高騰や宴会書き入れ時の1~2月の天候不順も重なって、人件費が重くなっている。地域別価格の導入など価格転嫁も検討して挽回する方向だが今08年8月期は前期比減益と見られる。地域別に価格細分化を行い人件費等のコストを吸収に努めるが、来09年8月期も微増益にとどまりそうだ。
 
 期初予想が達成できそうな数少ない企業は、ファーストフードのマクドナルドや回転すしのカッパクリエイト<7421>だ。ファーストフードの日本マクドナルドホールディングス<2702>は24時間店舗の拡大や100円商品で客数を伸ばすものの、昨年に比べ売り上げの伸びに陰りが見える。ただ、今期3回目の値上げを行い食材高を吸収、今08年12月期は前期比営業増益に持ち込む計画だ。回転すしのカッパクリエイトもひと皿100円、ランチは94円という低価格が効を奏して08年3~5月期(第1四半期)の客数が想定を上回った。食材高を吸収して営業益は増額を見込む。

喫茶業態では、ドトール・日レスホールディングス<3087>がコーヒー豆や小麦粉等の価格上昇に伴い3月からドトールコーヒー、エクセルシオールともに20~30円ほど値上げ。ただ、パスタ業態の日レスが苦戦しており、今09年2月期は収益が目減りする可能性も残る。スターバックスコーヒージャパン<2712>は消費低迷の影響を受け、8月の既存店客数は8.5%減、既存店売上高は前年同月比5.9%減と足下でも苦戦。今09年3月期は6年ぶりの減益となりそうだ。これまで業績好調だった企業にも買い控えの影響はじわじわと広がっており、外食業界に業績回復の光が差しこむのは、しばらく先となりそうだ。
【山本 亜由子記者】

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