トランプ政権下で、なぜドルが急落したのか 今年はドル下落の度合いは緩やかになる公算

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幅広い市場でボラティリティが非常に低いことも、資金の安全な逃避先としてのドルの魅力が低下する原因となった。

今後の見通し

為替市場はこれまでのところ米中貿易摩擦や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉などの課題をほとんど織り込んでいない。通商紛争の可能性が高まれば、ドルは長期にわたり下げ圧力にさらされるだろう。

米国でインフレが目に見えて上昇しなければ、米連邦準備理事会(FRB)は利上げに際して自由を奪われ、ドルは下落しそうだ。こうした状況が欧州中央銀行(ECB)がタカ派姿勢を強めるタイミングと重なれば、ドルの下げ幅は大きくなるだろう。

米税制改革の施行に伴う米企業の海外保留利益の本国還流がドルを押し上げると期待している投資家は、長期的にドルが持ち直すとの予想の見直しを迫られる可能性がある。

海外の投資家が保有通貨の分散化を目指せば、こうした動きもドルの重しとなる。国際通貨基金(IMF)が四半期ごとにまとめている、世界の中央銀行が保有する外貨準備の構成通貨に関する統計によると、ユーロなどドル以外の通貨の比率を引き上げるペースは高まっている。

もちろんアナリストの間からは、ドル安は行き過ぎで、ドルに対して過剰に弱気な投資はドルの強気材料が出た場合に踏み上げを引き起こすと警戒する声も出ている。

最近のロイター為替予測調査でも、ドル安局面はまだ終わってはいないが、今年はドル下落の度合いは緩やかになるとの見通しが示された。

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