「社員データ」を使えない会社が損する理由 優秀な人事部はデータを使いこなしている

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人事担当者は社内のあらゆる部門、分野といつでも連携がとれるようでなければなりません。人材戦略を社内に発信していくためには、統計分析に長けた人と連携しサポートしてもらう必要もあります。たとえば、従来の人事部は採用の際、転職回数の多い、いわゆる「ジョブホッパー」をふるいにかけるのが通例でした。

しかし、“転職回数の多さ”と“新しい就職先に留まる期間”との間には、何の関連性もないことが統計分析によって明らかになっています。つまりデータ主導型人事システムが成功するかどうかのカギは、適切な仕組みを構築し、社内で人材を適切に育成できるかどうかにかかっているということです。

次は人事部の番だ

私が人事部門の責任者と話をする際によく用いるのが、下の図です。ここには会社が必要とする人材(左側)と必要とする多彩で幅広いスキル(右側)の両方が示されています。自分たちがどのような人材でチームを構成し、どのように人材を育成しコミュニケーションを図っていこうとしているのかを、データを活用しながら具体的に描いてみるために非常に役立ちます。

この方法のよい点は、必ずしもチーム全体を再編成する必要はないという点です。今日のように非正規雇用が多い労働市場あっては、人事部は必要な人材を有期雇用することもできるし、また、必要なテクノロジーをすぐに導入することもできます。

データ主導型の人事システムは、人事担当者にとって自分の仕事が会社におよぼすインパクトを真の意味で理解するための唯一の方法ともいえます。社内のほかの部門は早くからデータ活用能力を身に付けており、社内でますます重要な役割を担うようになっています。CMO(最高マーケティング責任者)職を置く企業が増えているのはその好例といえるでしょう。次は人事部門がそうなる番です。必要な人材もツールもすでにそろっています。

マイク・ボリンジャー コーナーストーン社グローバルAVP

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Mike Bollinger

20年以上にわたり、複数の企業でタレントマネジメント部門の責任者を歴任。効果的なプランニングや、予算計画、マネジメントの分野で豊富な知識、経験を持つ。ITを活用したタレントマネジメントを熟知し、戦略的な人材育成、コミュニケーション、チームビルディングなどを得意とする。

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