「社員データ」を使えない会社が損する理由 優秀な人事部はデータを使いこなしている

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現実問題として、データ主導型の人事システムを導入するには、人事部で普段使われていない新たなスキルやツールが求められます。マーサーの調査によれば、調査対象の69%が、自社の人事担当者は高度なデータ分析を行えるほどのスキルを持ち合わせていないと考えています。一般的に、人事担当者は報告書をまとめたり、ベンチマーキングを行うことは非常に得意であるものの、高度な分析作業にそれほど優れていないのです。

しかし、人材の定着率、従業員の生産性、人材投資の費用対効果にどういった要素が関与しているかを把握するには、分析スキルが必要になってきます。

人事担当者が理解すべきは?

それでは、人事部はこうした分析スキルの不足をどうやって補えばよいのでしょうか?

データ主導型の人事システムに移行するためには、技能と科学の両方が必要ですが、人事担当者がピボットテーブルやカイ二乗検定に習熟している必要はありません。

人事担当者が理解するべきは、ピープルアナリティクスがビジネスにどれだけのインパクトを与えうるか、ということです。データを読み解く力を身に付けるために人事担当者がまずしなければならないのは、ビジネス感覚を持ち、核心を突いた適切な質問が行えるようになることです。

つまり、どうした要素が会社の業績を左右するのかを理解し、財務知識を身に付け、マーケティング的思考と戦略的観点からビジネスの優先事項と人材戦略における優先事項をどのようにマッチさせることができるか、理解する必要があります。

人事担当者はデータを用いて生産的なコミュニケーションを図れなければなりません。会社の優先事項に疑問を投げかけるのであれば、人事担当者は大量のデータの中から重要なものを抽出し、自らの仮説の根拠を示す必要があります。データに基づき人事部としてのシナリオを組み立て、自分たちの人材戦略を説明し、経営幹部に理解、尊重してもらえるようにしなければならないのです。

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