「iPhone中毒」対策は、アップルの責任なのか 大株主が公開書簡で提案したこととは?

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この公開書簡の主張どおり、アップルがなんらかのアクションを起こせば、特に先進国市場でスマホ中毒に陥る半数ほどの子どもたちに対策を施すことになるだけでなく、テクノロジー業界での子どものスマホ中毒対策への取り組みに競争が生まれる可能性すらある。

アップルがスマホ中毒の全責任を取る必要はないが、変化を作り出す可能性が最も高い企業であることは間違いないのだ。

幼児の親と話すと、iPhoneやiPadに助けられた経験を持つ人は非常に多い。たとえば家事でちょっと手が離せないときに子どもが好きな歌のビデオを見せておいたり、クルマで移動するときに気を紛らわす役割を果たしたり……。たとえよくないと思っていても、子育ての強い味方になってくれるデバイスについ頼ってしまうのも現実だ。

幼児は簡単にスマホ中毒に陥ってしまう

1歳の子どもであっても、親が操作している様子を横で見るだけですぐに操作方法を覚え、自分で好きなサムネイルをタップしてビデオを選ぶことができるようになってしまう。これはアップルが作り出したiPhoneやiPadのインターフェイスが非常に優れていることの表れだろう。

しかしそうした幼児も、簡単にスマホ中毒に陥り、ビデオの途中で親がデバイスを取り上げようものなら泣きわめいて抵抗し始める。スマホの操作が簡単なように、スマホ中毒へ陥ることも、それだけ簡単なのだ。

公開書簡で話題になっていたスクリーンタイムの制限について、現在のiOSの「機能制限」機能ではコントロールすることができない。そのため、親がiOSの設定で、子どものスマホ利用時間を強制的に区切ることは不可能なのだ。

子どものスマホ中毒をいかに防ぐか。前述の調査のように、多くの親がスマホの使いすぎに対して子どもとケンカになるほど難しい問題だ。一方で、明確なルールの設定と、そのルールに沿った運用ができるデバイスを導入することを試してみるとよいかもしれない。

筆者は自宅にGoogleブランドのWi-Fiルーター「OnHub」を利用している。このルーターにはWi-Fiを利用するデバイスごとに、アクセス可能な時間帯を制限する機能が用意されている。

OnHubには設定アプリ「Google Wi-Fi」が用意されており、自宅や外出先からルーターの状況を確認することができる。

このアプリで、デバイスごとにネットワークアクセス可能な時間を設定したり、家中のデバイスをいっせいにオフラインにする機能が用意されている。またデバイスのグルーピングも可能だ。

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