1日2350本の電車を動かす「JR新宿駅」の全貌 埼京線から総武線まで全16ホームを徹底解説

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線路配置(分岐器の設置位置)と駅を覆う人工地盤の位置関係から、南口コンコースには直接的に5・6番線に至る階段、エレベータ等がない。いったん7・8番線に下りたうえで、専用の地下通路(中央通路ともつながる)をたどる。かつては一部ホームとの行き来が不完全だった現新南口が全ホームと結ばれたことで、動線は改善されたが、それでも既設ホームから遠いことに変わりなく、乗り換えは当人だけでなく案内をする駅員にとっても要注意のようである。

5・6番線が新設の特急ホーム。明るい幕屋根の中で「成田エクスプレス」が折り返し整備を行う(撮影:久保田 敦)

だが、喧騒に包まれるほかのホームと違って、ゆったりした時間が流れている。大きなスーツケースを携えた外国人は、たいていこのホームに関係するので、国際色の密度が濃い。集まってくる人々の荷物が小さいと思うと、東武線直通特急の入線が近い――といった様子である。新南口(バスタ新宿)の人工地盤に掛かる部分は少ないため、幕屋根と相まって明るく、1~4番線とは対照的。優等列車用ホームとして、ガラス張りの待合室や喫煙室まで設置されている。夕闇が迫った頃からはバスタのクリスマスイルミネーションも見える。ただし、売店はない。

一方、運転面においては、ホームの前後が部分的にだが単線に絞られるため、山手貨物線(埼京線)との合流箇所で交差支障が生じることと合わせて、ダイヤの維持に対してとくに意を払わなければならない面もあるという。

とはいえN'EX、東武線直通特急のほか、臨時を含めて伊豆方面の「スーパービュー踊り子」、高崎線系統の「スワローあかぎ」等、また、東海道線系統の通勤ライナーの発着もあり、本数はわずかずつだが多彩な優等車両が出入りするホームでもある。

7・8番線、11・12番線

中央快速線上にあるホームは、数字が若い方から上り東京方面行き、優等列車用、下り立川・高尾方面行きの3面が並ぶ。以前は優等列車用、上り快速、下り快速の順で並んでいたが、当時の配置では優等列車の出入りの際に本線交差支障を生じていたため、駅改修工事を契機とする大改良で入れ替えられた。

中央線快速はオレンジの帯のE233系。朝は、国鉄時代から、首都圏のJR線でも最も列車密度が高いダイヤとして知られる。上下とも8時台は29本(下りはうち2本が特急)を数え、2分間隔である。30本とならないのは、ダイヤ上のクッションが必要なためで、1本に均すとたった4秒の予備タイムという計算になる。新宿では停車時間も必要なため、2分間隔の時間帯は上り快速の7・8番線、下り快速の11・12番線とも、ホーム左右両側に交互に列車を入れる両面発着を行う。一方、そうした必要が薄れる日中以後、および土休日の終日は、快速は8番線と12番線のみの使用となる。

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