北朝鮮が「大人しくなった」のに惑わされるな

南北朝鮮の関係改善は一時的なものだ

今後北朝鮮による核開発はどうなるのか(写真:Yonhap/ロイター)

金正恩は昨年、想定を上回るスピードの核ミサイル開発、敵対勢力とみなしたものへの無慈悲な弾圧、さらには化学神経ガスを使用して異母兄の暗殺を命じた疑惑で、世界に衝撃を与えた。今年は、手始めに1月の外交攻勢を強めた北朝鮮の指導者であるが、これは戦略の変更を意味するものではない。

1月9日には、北朝鮮の高官らが南の高官らと会合をもち、2年ぶりに対話が交わされた。その結果、韓国で来月開催される冬季オリンピックへの選手団の派遣と、軍部間の対話の維持で合意に至った。

韓国と米国の「すれ違い」

当然ながら、対話の道が開かれることは、わずかなりとも肯定すべき兆候と取れる。だが、そのことによって、より強力な核ミサイルや弾頭、特に米国への攻撃が可能となるものの開発を遅らせるという意図が北朝鮮にあるということになるわけではない。むしろ、北朝鮮政府は、米国政府と韓国を仲違いさせることを目的とした、周到な、より成功度の高い戦略の追求を続けているように思われる。

この動きはトランプ政権の立場を難しくするものであり、金政権に対する米国の軍事行動を、不可能とまではいかなくても、困難にする可能性がある。

韓国と米国は長い同盟関係にあり、その歴史は、1953年の韓国停戦時の公式の相互防衛条約までさかのぼる。韓国に米軍を駐留させ続けることは、韓国が生き残っていくうえで不可欠であると考えられる。だが、それと同時に、物事の優先順位は互いの間で異なっている。

米政府、特に、トランプ政権は、最重要課題は北朝鮮が米本土を攻撃する能力を手にするのを防ぐことであると明確にしている。対照的に韓国は、すでに北朝鮮の従来の核兵器と保有が疑われている化学および生物兵器の大規模攻撃の射程内にある。つまり、米国側では、将来の米本土への攻撃という脅威を回避するためには戦争を辞さない、戦争をすべき、とまでの意見がありえるのに対し、韓国ではそのようなリスクの高い戦略を取る動機がないのだ。

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