新キンドルがもくろむ、打倒iPad

年末商戦でアマゾンはシェア拡大なるか

9月25日、米ネット小売り大手アマゾン・ドットコムは新たに発表したキンドル2機種で、アップルやグーグルといった競合他社より優位に立つことを狙っている。写真は「キンドル・ファイア HD7」の発表イベント。昨年9月、カリフォルニア州で撮影(2013年 ロイター/Gus Ruelas)

[シアトル 25日 ロイター] - 米ネット小売り大手アマゾン・ドットコムが新たに発表したタブレット端末「キンドル・ファイアHDX」2機種は、サポート窓口とビデオ通話ができる特徴的な機能を備えた。アマゾンはこの2機種で、年末商戦で米アップルや米グーグルといった競合他社より優位に立つことを狙っている。

キンドル・ファイアHDXに搭載された「メーデー(遭難信号)・ボタン」をタッチすると、利用者はビデオ通話で操作方法について問い合わせることが可能で、遠隔操作でのサポートも無料で受けられる。アマゾンは同サービスを通じ、競争が一段と激化し、機能的にはほぼ横並び状態のタブレット端末市場で差別化を図ろうとしている。

世界最大の小売サイトを持ち、独自デジタルコンテンツにも力を入れるアマゾン。戦略商品である「キンドル」の価格は、アップルの「iPad(アイパッド)」や、韓国サムスン電子<005930.KS>が発売するグーグルの基本ソフト(OS)アンドロイド搭載機よりもかなり低く抑えている。

しかし、キンドルは、アプリの数では競合端末の後塵を拝しており、専門家の多くは、この点こそ顧客が購入を決定する上で最も重要な要素だと指摘している。

ロバート・W・ベアードのアナリスト、コリン・セバスチャン氏は「キンドル第3世代は再び有意義な前進を示し、競争が激化するタブレット市場で一段と差別化を進める」と評価。その上で、「アップルやグーグルと比べて、アマゾンのキンドルには魅力的なアプリが少ないことが最大の懸念事項だ」と語った。

タブレット市場でアマゾンが採用する戦略は、アップルとはかなり異なる。つまり、原価に近い低価格でキンドルを売り、利益はビデオや音楽といったデジタルコンテンツや書籍の販売から得るというものだ。この戦略が功を奏し、キンドルはアップルとサムスンに次いで最も売れているタブレット端末となった。

一方、今回新たに搭載されたサポート機能がコストにどれくらい影響するかは不明だ。

アマゾンはすでに、配送から購入、支払いに至る全てを扱う業界屈指のカスタマーサービス・センターを運営している。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は24日、米シアトルの本社で行われた新型キンドル・ファイアの発表イベントで「こうした機能こそ当社が得意とするものだ」と強調した。

アマゾンは、ビデオ通話サポート機能を支えるスタッフの人数を明らかにしていないが、ベゾスCEOは「最繁忙期となるクリスマスの朝には準備が整っているだろう」と話した。

<数字で見た比較>

アンドロイドを基にしたアマゾン独自のOSを採用した最新のキンドルは、年末商戦で競合他社製品との熾烈な戦いに立ち向かうことになる。サムスンは25日、スマートフォン(多機能携帯電話)とタブレットの要素を併せ持つファブレット端末「Galaxy Note(ギャラクシーノート)3」を発売した。

スマホ市場では、アップルの「iPhone(アイフォーン)」最新2機種「5S」と「5C」が発売後3日間の販売台数が計900万台を超え、過去最高を記録した。アップルはまた、向こう数カ月内にiPadの最新機種を発表する見通しだ。

キンドル・ファイアHDXは画面7インチ(18センチ)と8.9インチの2種類。従来機種の「キンドル・ファイアHD」と比べると軽量で、処理性能も高い。ストレージ容量は16ギガバイト(GB)、32GB、64GBの3モデル。

WiFiモデル(16GB)の価格は、7インチの端末で229ドルから、8.9インチの端末で379ドルから。一方、アップルの「iPad mini(アイパッドミニ)」は16GBのWiFiモデルが329ドルから、iPadは499ドルからとなっている。

アマゾンはWiFiモデルの予約受付を即日開始。出荷は7インチ版が10月、8.9インチ版が11月を予定している。4G通信対応モデルの2機種も年内に投入し、価格はそれぞれ100ドル上乗せした水準だという。

アマゾンはまた、新キンドル・ファイアHDの価格を139ドルに抑えた。従来は199ドル。

こうした一連の新製品投入で、アマゾンは急成長するタブレット市場で、アップルやサムスンの牙城を切り崩そうとしている。

アマゾンはより広範囲な顧客を取り込もうと、キンドルでソフトウエアの機能拡張にも取り組んでいる。映画の視聴中や読書中に俳優や登場人物などの情報を表示する「X-Ray」機能を進化させ、映画などで使用された音楽をワンタッチで購入可能となった。

フォレスター・リサーチのアナリスト、サラ・ロットマン・エップス氏は「こうしたソフトウエアやサービスはユーザーを今後も満足させる。『メーデー』はアマゾンならではの機能であり、主流顧客層にとって大きな助けとなる」と指摘。「それに、価格においてもアマゾンが難攻不落というのは間違いない」と述べた。

(原文執筆:Bill Rigby記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)

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