自動車部品カルテルが続々摘発されるワケ 巨額の制裁金に戦々恐々とする日本メーカー

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米国では、2011年に2億ドルの罰金を科された古河電工、2012年に4億7000万ドルを科された矢崎総業など、自動車部品メーカーが相次いでカルテルの摘発を受けている。今月に入ってからも、ジーエスエレテック、フジクラ、パナソニックの各社幹部がカルテルに関与したとして起訴されていた。

リーニエンシー制度で芋づる式に摘発

ではなぜ、日本メーカーがこれほど続けて摘発されているのか。背景には世界各国で導入されている「リーニエンシー」制度がある。これはカルテルへの関与を自主申告すると、刑罰が減免されるというものだ。厳罰を避けたい自動車部品メーカーがこの制度が利用し、芋づる式にカルテル関与者が明らかになっていると見られる。

価格カルテルに関する捜査は、欧州、シンガポールや韓国などアジア各国の競争当局でも並行して行われており、今後それらの国々でも摘発されることが十分ありうる。国際カルテルに詳しい矢吹公敏弁護士によれば「(価格操作による販売総額が同じ規模だった場合)欧州の制裁金は米国より高い」という。米国で罰金を支払って幕引き、とはならない可能性が高い。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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