「世界一」を目指すスマートニュース 浜本階生社長が描く急成長シナリオ

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メディア各社の収益機会を奪う?

ここまでの道のりが順調だったわけではない。「スマートニュース」にはスタート当初にはトラブルもあった。サービス開始直後、著名IT記者が、クローラーで収集して広告を除去して読みやすいレイアウトにする仕組みが、著作権を侵害していると指摘。炎上に近いほどの騒ぎになった。確かに、広告を除去してキャッシュしてしまえば、メディアの収益機会を奪っている面がある。

そこで今年1月から3月まではメディア各社を訪問し、同社の考え方を説明して回ったという。「キャッシュ化された記事を読んだとしても一度はオリジナルサイトに飛ぶ仕組みになっているためPVには影響しない」「希望に応じてキャッシュ画面にも広告を掲載できるようにする。その収益は100%メディア側が取れるようにする」と説明。メディアにとってもPVを増やすチャンスになると説いて回った。それでもニュースを収集されたくない場合には、その旨をサイトにプログラムしておけばスマートニュースのクローラーを拒絶できることも説明した。

トップ画面には地域別の天気予報を掲載できるようになった

結果として、多くの会社が賛同し、現在は31社49媒体(9月17日時点)と提携している。4月にアスキー出身でメディアに幅広い知見を持つ藤村厚夫氏(前ITメディア会長)が執行役員として加わったことも、メディア各社との関係改善を前進させた。藤村氏は「資料作成、コピーなど事務方の仕事は私がなんでもやっているんですよ」と現場での仕事を楽しんでいるようだ。

トラブルシューティングにメドが立って以降は、再びサービス拡充に力点を置く。8月末には地域別天気予報、プロ野球試合速報のほか、「今日は何の日」というオリジナルコンテンツも追加した。iOS7にいちはやく対応するなど、技術へのこだわりも忘れていない。ニュースポータルとして充実した内容とすることで1年後1000万人を目指していく。

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