「技術的失業」後の転職をどう支援すべきか 先進国では最大3割が職種転換を迫られる

✎ 1〜 ✎ 404 ✎ 405 ✎ 406 ✎ 最新
拡大
縮小
ロボットなどの台頭で転職を迫られる人のストレスを和らげるには(写真:freeangle/PIXTA)

仕事の仕方、学習方法、生活様式……ロボットによって今後、あらゆるものが激変するだろう。だが、世の中がより生産的かつ安全で便利になると期待される一方で、新しいテクノロジーは雇用への不安をかき立てている。

こうした不安を増大させているのが、英オックスフォード大学のフレイ博士とオズボーン准教授の共同研究、そしてマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI、コンサルティング会社マッキンゼーのシンクタンク)による最近の調査だ。

「技術的失業」に対する不安は的外れ

MGIの調査は、先進国、途上国の双方で雇用の大部分がロボットによって置き換えられる可能性があるとしている。だが、技術的失業(約1世紀前に経済学者のケインズが作りだした言葉)に対する不安が的外れであることを、歴史や経済理論は示唆している。

過去にそうであったのと同じように、将来、技術的な変化によって生産性向上と所得の拡大がもたらされ、労働需要は引き上げられる可能性が高い。新しく生み出される仕事の多くは、現時点においては想像すらできないものとなる。

MGIの調査によれば、2030年までに世界の労働力人口の約15%、約4億人の仕事が機械によって置き換えられる(中位シナリオ)。自動化が急速に進めば、その人数も増え、最大8億人の職が奪われると試算されている。

ありがたいことに、所得上昇による総需要の拡大や、高齢化に伴う医療需要の増加などによって新しい職が生まれ、機械化による失業は埋め合わされる見込みだ。しかし、新しく生まれる仕事は従来のものと大きく異なるため、移行は痛みを伴うものになるだろう。

次ページ先進国では最大約3割が転職も
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT