米雇用改善も、住宅販売やインフレ鈍化懸念 強弱まちまちの、米国経済指標

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9月26日、一連の米経済指標は雇用の改善や成長の持続を示唆。同時にインフレ鈍化を示し、気がかりな兆候となった。写真は2012年7月30日、ニューヨーク証券取引所前で撮影(2013年 ロイター/Brendan McDermid)

[ワシントン 26日 ロイター] - 26日発表された米経済指標は、新規失業保険週間申請件数がおよそ6年ぶりの低水準に減少する一方、住宅販売保留指数が3カ月連続で低下するなど、米経済の健全性を見極める上で強弱まちまちとなった。

第2・四半期の米国内総生産(GDP)確報値は前期比年率で2.5%増と、改定値から変わらず。だがFRBがインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)価格指数は0.1%低下し、気掛かりな兆候を示した。

FRBは先週、金利上昇による経済へのリスクに懸念を示したほか、雇用、インフレともになお弱すぎるとの考えを示している。同日発表の経済指標は、緩和縮小に着手する前に景気加速のさらなる証拠を見極めたいFRBにとって、課題の多い内容となった。

8月の住宅販売保留指数は107.7で、前月比1.6%低下した。1.0%の低下を見込んでいた市場予想以上の落ち込みとなり、住宅ローン金利の上昇が国内住宅市場の回復の勢いに水を差している状況が浮き彫りとなった。

また指数は大半の地域で低下、上昇したのは北東部のみだった。

9月21日までの週の新規失業保険週間申請件数は、前週から5000件減の30万5000件。緊縮財政や政治の機能不全などの懸念材料にもかかわらず、雇用市場が2007─09年の金融危機から着実に回復していることを示した。

市場予想は32万5000件への増加を見込んでおり、予想外の減少に米株価は上昇、債券利回りは上昇した。

雇用市場の基調をより正確に示すとされる4週間移動平均は、7000件減の30万8000件と、2007年6月以来の低水準となった。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのエコノミスト、ジム・オサリバン氏は「新規失業保険週間申請件数データは、今後雇用者数の伸びが加速することを示している」と指摘した。

第2・四半期のGDP確報値は2.5%増加。今年1月からの増税や3月に始まった歳出の強制削減を踏まえると、 底堅い成長ペースといえる。

政府の緊縮財政は約0.1%程度のGDP押し下げ要因となったが、改定値からは押し下げ幅が縮小した。

ただPCE価格指数は0.1%低下した。低下は、昨今の金融危機が深刻化していた2009年第1・四半期以来およそ4年ぶり。

変動の大きい食料・エネルギーを除いたコアPCE価格指数も0.6%上昇と、伸び率は2009年初め以来の低水準にとどまった。

PCE価格指数の低下は、需要が非常に弱いため企業に値上げ余地が少ないことを示唆しており、懸念材料だ。

バーナンキ議長はこれまで、インフレ率が上向くまでは資産買い入れの終了を望まないと述べている。

マークイットのエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「PCE価格指数データを受け、FRB内では、経済が資産買い入れ縮小に十分耐えられるとの見方が後退する公算が大きい」との見方を示した。

*内容を追加します。

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