「ボキャ貧」家庭の子は大体、国語で苦労する どうすれば状況を変えられる?

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それは、日常会話で、「子ども言葉をあえて使わない」ということです。

通常の大人は子どもよりもボキャブラリーが豊富です。しかし、子どもと話すときにボキャブラリーのレベルまで子どもに合わせてしまうことがあります。つまり子どもっぽい言葉を使ってしまうのです。最初に赤ちゃん言葉を使って語りかけた名残りなのかもしれません。

しかし、仮に大人が使用する言葉を使って話をしても、話の流れで大体の言いたいことを子どもは掴むため、多少、わからない言葉が混ざっていたとしても問題はないのです。子どもが本当に理解できないときというのは、言葉そのものが難しいときではなく、内容が難しいとき、説明が不十分なときです。

もちろん、わかりやすい話は大切なことですが、わかりやすいことを意識しすぎて、子ども言葉を使ってしまうと、それはわかりやすいのではなく、“幼稚”ということになります。では、具体的にどうすればいいのか、2つの方法を挙げてみますので、試してみてください。

1)ひらがな表現から漢字表現にする

「それはきついね~」→「それは大変な状況に置かれているね~」

「どうしたらいいだろう」→「解決策は何だろう」

2)大人が話す話題を、子どもに聞かせる

普段、大人は子どもの前で、大人の話題、たとえば、政治や経済、会社のこと、社会システムのことなどの話をしません。それらの愚痴や不平不満は話しても、それらの成り立ちや仕組みといった話を子どもの前ですることは多くありません。子どもには難しいし、言ってもわからないと思うのかもしれません。

聞いていくことで、ボキャブラリーのストックが増える

でも、そこであえて子どもの前で大人の話をしてしまうのです。すると、子どもはその場で必ず理解するとまではいかなくても、日常会話の一部として“聞き”ます。日々、自然と聞いていくことで、ボキャブラリーのストックが増え、その後、学校などで以前聞いたことのある言葉に出会うと、さらに印象が強化され、記憶にも残ります。

政治や経済、地理、歴史のみならず、一般教養と言われる領域でも、また親の趣味の話でも何でも構わないのです。つまり子どもが普段聞かないボキャブラリーを大人が自然と日常会話で使っているという状況を作っていくといいでしょう。

以上のような方法をご参考にされ、日々お試しになってみてください。子どものボキャブラリーが徐々に増え、やがて、言葉そのものに興味を持ち、国語力のアップへと発展していくことでしょう。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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