JR東日本が英国で「遅延」を解消できない理由 日本でのノウハウがすぐ生きるとは限らない

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ユーストン駅を発着するロンドン・ノースウェスタン・レイルウェイの列車。新ブランドのロゴ取り付けや車体の塗装変更はまだ全編成には行っておらず、順次変更していく予定。写真は従来塗装(筆者撮影)

2017年8月17日付記事「JR東日本が英国で鉄道運行する『本当の狙い』」で既報の通り、JR東日本と三井物産の2社は、オランダ鉄道旅客輸送部門アベリオの英子会社、アベリオUKとともに英国ウェストミッドランド路線のフランチャイズ(営業権)を獲得、同年12月10日より列車の運行を開始した。

3社合弁による新生「ウェストミッドランズ・トレインズ」社は、同日よりバーミンガム周辺のローカル輸送を担う「ウェストミッドランド・レイルウェイ」と、ロンドンからリバプールの近郊輸送を担う「ロンドン・ノースウェスタン・レイルウェイ」の2つのブランドで列車の運行を行っている。

日本の技術と経験は生かせるか

運行開始を記念して、翌11日には英国中部の都市バーミンガムで記念式典も開催され、JR東日本の小縣方樹副会長らが出席、運行開始を祝った。JR東日本は、今後も海外展開を積極的に進めたいとしており、日本ならではの安全やサービス、定時性などをアピールしていくことを強調した。JR東日本の名前を広く知ってもらうことが同社にとっての最大の目的であるとしても、同社が持つ経験や技術が生かせる場面も多いだろうという期待の声も大きい。

とはいえ、JR東日本が参入したことで、英国の鉄道会社が即、日本のようにサービスや定時性、安全性に優れた鉄道システムに生まれ変わるかと言えば、それはちょっと違う。もちろん、日本の鉄道会社が持つ運行のノウハウには、他国でも活用できそうなものは多々あることだろう。だが、日本とは鉄道システムに大きな違いがある英国やその他の欧州諸国において、日本のノウハウをそのまま持ち込んですぐに活用するのは容易ではないし、そもそも求められている内容が異なる場合もある。

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