創業100年「TOTO」が成長し続ける根本理由

TOTO社長「M&Aも、優れた経営者も不要だ」

上の人がえらそうなことを言いながら、実際にやっていることがぜんぜん違う、なんてことは現場の社員が実によく見ている。経営理念とは上に立つ者がかく汗、実践してみせる姿で学んでもらうもの。一般の社員に「勉強しなさい」と求めるものじゃないと、僕たちはいつも言っています。

美が製造業の技術を磨く

喜多村円社長は「メーカーは美しさに挑戦することで技術が格段に進歩する」と主張する(写真:TOTO提供)

――喜多村社長の実践の1つとしては、製品デザインの改善に一貫して力を入れています。

TOTOは衛生陶器とウォシュレットの技術では間違いなく世界一。でも、デザインでは決して世界一じゃなかった。特に欧州のメーカーと比べると負けています。だからこれからの100年は、美しさを学ぶ必要があります。社長になる前から、「自社のデザインの特長は言えて当たり前。ライバルのデザインの何が優れているか、挙げられるように」と現場に言ってきました。

美しさは価値に変えることが難しい。機能に対価を求めるのは簡単ですが、美しさは感性によって評価されるので、経済的な価値を認めない人もいます。でも美しいものを美しいと感じることこそが人間らしさ。デザインがよいからといって5万円高くすることは無理ですが、値段が同じなら美しいほうが選ばれます。

そしてメーカーは、美しさに挑戦することで技術が格段に進歩します。真四角な製品を作るのは簡単ですが、微妙なカーブを描くものは生産技術が優れていないと作れません。特に衛生陶器は焼き物で、窯から出すと微妙に変形する。繊細で複雑な形状だと、焼く温度の調整から乾燥炉の風の向きまでコントロールしないといけません。うちはスーパーコンピュータで計算しながら、こういう調整をていねいにやっています。こんなことをやろうという同業は、世界にもいません。

こんな難しいことができるのは、技術者の志が高くて、意地があるから。だからこそ、海外の展示会で他社の製品を見ても「この作り方はダメ、これじゃあすぐ壊れる」「うちの技術はまだまだ追いつかれていないね」と技術力の比較になりがち。でもうちが技術で勝つのは当然。じゃあデザインはどうなのか、と問いかけています。

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