【産業天気図・非鉄金属】鉱石購入条件悪化に市況軟化が追い討ち。非鉄金属業界の曇天は長期化の様相

予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月
 

非鉄金属業界は2008年度後半以降も「曇り」の状態が続きそうだ。下落傾向にある国際市況の動向次第では、業界全体を覆う雲が一層ぶ厚くなる可能性もある。

すでに2007度から価格下落が続いている亜鉛やニッケルに加えて、これまで高止まりが続いてきた銅までも足元にきて急落している。背景にあるのは、投機資金の一層の流出だ。主要メタルを軒並み史上最高値まで吊り上げてきた投機筋の介入だが、サブプライム問題や世界景気の減速に伴い、コモディティ市場からの撤退を加速させているもよう。その結果、国際指標であるロンドン金属取引所(LME)のメタル価格は、実需を反映したのに近いレベルにまで反落している。

その実需が昨年来、減退傾向にあることで、非鉄金属を取り巻く環境はより深刻になっている。昨年6月に値崩れを起こしたニッケルは、最大用途であるステンレス業界の減速に歯止めがかからない。米国を中心とした住宅向け需要の低迷に加え、市況急落による「在庫高・製品安」の状況が在庫調整を遅らせている。足元のLME価格は1トン=2万ドル割れとなり、国内唯一の電気ニッケルメーカーである住友金属鉱山<5713>の想定価格(約2万6400ドル)を大きく下回る。

自動車鋼板のめっき材料として使われる亜鉛も、自動車各社の減産発表を受けて価格下落が止まらない。足元の市況は、一昨年のピーク時(4600ドル超)に比べて3分の1近い1700ドル近辺まで落ち込んでいる。こちらも、三井金属<5706>の2400ドル、東邦亜鉛<5707>の2200ドルという、主要各社の市況前提を下回る状況だ。また、これまでは新興国のインフラ整備向けに堅調な需要が続くとされてきた銅に関しても、今年7月に過去最高の8900ドルを付けて以降は、BRICs向けの伸びの鈍化や世界経済の減速を材料に、足元は7000ドル近辺まで急落している。

日本の非鉄金属業界のビジネスモデルは、海外の鉱山会社から鉱石を購入し、自社の製錬設備で地金にする「買鉱製錬」が主流。毎年、年央と年末の2回、鉱山側と価格交渉を行い、定額の加工賃と市況変動に伴う利ザヤの分配比率を決める。この2つが製錬側の利益となる。ところが、近年は鉱山側の寡占化によって、加工賃は減少し、利ザヤ分配も大半が廃止されるに至った。ただでさえ儲けが少なくなったところに、市況軟化によって、わずかに残された市況高に伴う恩恵も見込めなくなったのが、国内非鉄各社の現状というわけだ。

各社とも非製錬部門の拡充を急いでいるが、市況高を謳歌してきたここ数年からの反動減は短期間では吸収しきれない。来期に入っても、非鉄業界の曇天は続きそうだ。
【猪澤 顕明記者】

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