「グルテンフリー」を超える新世代パンの実力 池袋のリビエラ東京とベンチャーが共同開発

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上段が過熱蒸気で処理したコメとコメパウダー。このコメパウダーを使うと粘り気としっとりさが出る(写真:コスモバイタル)

コスモバイタルが開発した調理器は、過熱水蒸気によって高温・ほぼ無酸素の状態を作り出し、食品の酸化を防ぎながら短時間で調理できる。過熱水蒸気に加え、赤外線ヒーターによって最高550℃の高温・低酸素空間を作り出すことが技術的なキモだ。

生米にこの加熱処理を施し、粉砕してコメパウダーを作る。そこに通常の米粉を配合する。すると水に混ぜたときに、米粉だけの場合に比べて粘性が増す。それがグルテンや添加物の代わりになる。

コメパウダーは、パンだけでなく、麺や天ぷらなどにも利用できる。また、この調理器は調理中の酸化を防ぎ、食材のうまみを引き出すことができるため、肉・魚・野菜などあらゆる食材での活用が期待されている。

「おいしさをとことん追求」

コスモバイタルの加納勉社長は、コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブン・ジャパンの出身。同社の食品供給ネットワークを作り上げ、焼きたてパンも仕掛けた人物だ。セブンを離れた後は、一貫して食の安全・安心の問題に取り組んできた。「その集大成。食材の本来持つ味を引き出し、おいしさをとことん追求したい」(加納社長)。コスモバイタルは2016年3月に設立されたが、2017年秋にリビエラの出資を受け、リビエラとの共同開発を加速させてきた。

コスモバイタルの加納社長。背景は今回パンを売り出す「リビエラカフェグリーンスタイル」(記者撮影)

リビエラ東京ではレストランやウエディング事業を展開する中で、アレルギー対応に関する要望が年々多くなっていたという。リビエラの小林昭雄社長は「食の安心を提供するため、さまざまなメニューを共同開発しているが、商品化しやすく、米粉普及という国の方針にも沿うため、パンの製造販売から始めた」と語る。

バリアフリーパンについては、コスモバイタルが旅行・観光業界からの要望で開発した経緯があり、今後リビエラ東京以外にも販路が広がりそうだ。新たな食への挑戦はどこまで受け入れられるか。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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