2018年、日経平均3万円到達は十分ありうる 「かなり強気の3人組」が日本株を予測する

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日本は株価が安いだけではなく、すべてのモノが安いと思います。東洋経済オンラインにも掲載されました(ゴディバと森永製菓、どちらがおいしいのか)が、例えばチョコレートの値段でいうと、森永製菓の代表的な商品のグラム当たりの価格は、ベルギーを発祥とするゴディバの約8分の1。マクドナルドのビッグマックの値段にしても、日本より安い国は主要国では中国とインドくらいしかないんです。こうした状態が修正される局面に入り、今の日本はまさに時代的大転換期にあるのです。その意味では、武者さんとまったく同じ意見ですね。

松本:モノの値段が全般に安いというのは、日本の金融政策とも関係があるのでしょうか。

阿部:おっしゃる通り、マクロ政策が貧困だったことにもよるかもしれません。さらに言えば、企業家が「儲けよう」という気持ちを忘れてしまったことも大きな原因です。株主もそれを黙認してきたので、儲けなくても言いわけが立ったんですね。こうしたさまざまな要因が組み合わさった結果だと思います。

日本の「安すぎる株価」が上昇していく理由

松本:さて、日本の株価が今なお安く放置されているとすると、今後さらに上昇するきっかけは何だとお考えですか。

阿部:一番大きいのは、マクロ的なデフレが通常のインフレ状態に入っていくことでしょう。私はアベノミクスの評価をする立場にはありませんが、少なくともアベノミクス以降はこうした変化がはっきりと出てきています。最も顕著なのは不動産価格です。これが上がって初めて、正常な信用創造ができるのです。その証拠に、最近では銀行が「おカネを貸したい」とかなり積極的になっていますよね。信用創造のないところに正常な市場の機能はありませんから、そういう意味では非常に大きなきっかけだと思います。

松本:武者さんは日経平均がこれから4万円、いずれ10万円までいくとおっしゃいましたが、その理由は?

武者:一番重要な要素は、今世界中で起こっている、新たな「産業革命」ですね。これによって劇的にコストが下がって生産性が上がり、企業は超過利潤を極めて容易に、また旺盛に手に入れられるようになったのです。設備投資も安く済み、商売をやるのに必要な資本が少なくなりました。その結果、儲かったおカネが行き場をなくして、企業も家計も貯蓄過剰になっています。その「カネ余り」が金利を下げているのです。

歴史的に見ても極めてまれなことで、恐らくここ10年、20年に特有の現象だと思います。一方で、せっかくつくられた価値が貯蓄され、購買が先送りされています。この問題を解決するには、信用創造によって購買を少し前倒しにしてやって、つくられている価値が需要に結びつくように働きかけることですね。そうすれば経済は成長してインフレは正常化し、金利が上がり、そして正常な関係のもとで株価が上がるという状況になると思います。

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