「クックパッド上場を実現」した事業家の脳裏 「フェイズ」意識で会社も社員も成長する!

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フェーズごとのチェックシート(出所:山口豪志『0 to 100 会社を育てる戦略地図』(ポプラ社)P30~31より掲載)

「フェーズ」を知っておくべき理由

私はレシピサイトのクックパッドで社会人生活をスタートし、同社の上場を見届けてから、クラウドソーシングのランサーズで働き始めました。いずれも入社当時は初期フェーズの会社でしたが、小さな会社が成長していく喜びを実感できたことが、スタートアップを支援する現在の仕事につながっています。創業間もない初期フェーズの会社の成長に貢献することが、私の性には合っているようです。

ただ、私がこの「フェーズ」という考え方をいちばん身に付けていただきたいと思うのは、経営層よりもむしろ、社員として会社の中で働く皆さんです。会社の成長に欠かせないのは、言うまでもなく社員の力です。経営者一人でできることには限界があります。

社員の方がフェーズを意識して、今の会社の立ち位置を知ったうえで働くことができれば、今よりも高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。会社はもちろん、個人の成長にもつながるでしょう。

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注意していただきたいのは、人にはそれぞれ、フェーズとの相性があるということです。ここでミスマッチが起こると、社員が力を発揮しにくくなります。刺激に満ちあふれた初期フェーズでバリバリ働きたいという人もいれば、中期フェーズで落ち着いて働きたいという人もいます。

同じ業種でも、フェーズが違えば求められるスキルも異なります。人数の少ない初期フェーズでは、一人で複数の業務をこなさないといけませんが、ある程度社員数が増えてくると、作業が分担化され、より専門的な仕事が求められるようになります。

そういう意味では、これから就職活動を始める学生も、会社のフェーズというものを意識しておくといいかもしれません。どのフェーズの会社で働くかによって、仕事へのやりがいは大きく変わってきます。会社の名前よりも、待遇よりも、「自分が生き生きと働くことのできるのはどのフェーズか」を考えてみましょう。

0から100までの成長段階(フェーズ)(出所:山口豪志『0 to 100 会社を育てる戦略地図』(ポプラ社)P22~23より掲載)
山口 豪志 事業戦略家

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やまぐち ごうし / Gohshi Yamaguchi

1984年1月5日生。岡山県岡山市出身。2002年岡山県立岡山朝日高校卒。2007年茨城大学理学部卒。プロトスター株式会社代表取締役COO、株式会社54代表取締役社長、株式会社スタディストアドバイザー、株式会社情報工場執行役員営業開発担当、株式会社デフタ・キャピタルアクセラレーター兼横浜ジェネラルマネージャー。

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