「2018年に10周年」の企業に上場会社が多い訳 数で勝る30周年のバブル創業組より粒ぞろい

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最後に、1918年創業の「100周年企業」を紹介します。総数は1308社でぐっと少なくなり、このうち上場企業は38社。100年企業ともなると、その名を知られた企業ばかりです。

電機の雄・パナソニックも100歳

パナソニック(東証・名証1部)は、松下幸之助氏が配線器具のソケット製造で「松下電気器具製作所」を開設した1918年を創業年としています。現社名の「パナソニック」には2008年、大坪文雄社長時代に変更。2010年代初頭には2年間で1兆円以上の赤字を出しながらも近年は回復し、全世界で売上高7兆円超の大企業に成長しています。

ほかには帝人(東証1部)や筆記具のパイロットコーポレーション(東証1部)、防災機器のホーチキ(東証1部)、時計のシチズン時計(東証1部)、テープのニチバン(東証1部)など、各業界を代表するトップ企業が多く登場しています。100年の間に複数にわたる震災や戦争、経済危機など幾度となく訪れたピンチを乗り越えてきただけに、ただでは倒れない優良企業が目立ちます。

今から約100年前の1918年は、第一次世界大戦が終結し、国内では米騒動の影響から寺内正毅内閣が退陣に追い込まれ、日本で最初の本格的な政党内閣である原敬内閣が発足した年でした。経済面では、1914年から始まった第一次大戦に伴う空前の好景気を背景に、起業する企業家たちが多数現れた時期でもありました。

「100周年企業」を業種別に見ると、「製造業」が395社(構成比30.2%)で最も多く、明治年間から続く富国強兵・殖産興業の大きな流れが、多数の製造業の起業を後押ししたといえるでしょう。

周年という節目は、長年培ってきた自社のブランドイメージ向上につながる良い機会ともなるものです。周年を迎えるにあたって、記念行事やプロジェクトを計画、実行する企業も多くあります。みなさんにとっても、周年企業のもつ魅力や強みにあらためて触れることで、さまざまなビジネス上のヒントを得るきっかけとなれば幸いです。

内藤 修 帝国データバンク 横浜支店情報部長

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ないとう おさむ / Osamu Naito

1977年、横浜市生まれ。2000年に同社入社。本社情報部、産業調査部、東京支社情報部を経て、2018年10月から現職。入社以来18年以上にわたって、企業取材、景気動向のマクロ分析とともに、注目業界の動向やトピックをまとめた『特別企画レポート』の作成を手がける。専門は、倒産動向分析、企業再生研究。

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