内定の合否を分けるのは「ちょっとした差」だ 26歳、半年転職が決まらなかった男の転換点

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同じ業界ということもあり、転職はすんなりできると考えていた。しかし、実際は面接に立て続けに落ち、内定が勝ち取れない日々が続いた。その数は書類選考も含めて30社以上に及んだ。それは芦田さんの癖が足かせとなっていたのだ。わが社(UZUZ)に就活サポートを申し込んできたのもこのころだった。

前職の経験を聞いてみると、1年7カ月とはいえ、ほぼ1人で複数の現場で計装の施工管理も経験し、図面も簡単なものであれば、読み書きができる。第二新卒としては一定の経験を持つ人材という印象だった。しかし、芦田さんと会った当初、自分がやってきた仕事にまったく自信を持っていなかった。転職活動を続けていくうち、自信がなくなっていたのだ。

「転職活動を始めた頃は、そんなに自信がないわけではなかったんです。前職の経験をアピールしましたし、大学時代に機械工学を学んでいるので、設計職として活躍できるだけの知識も経験もありました。でも、自分の経験や志望動機を話すと、面接官はことごとく納得してくれませんでした。それどころか『その程度の経験で次の環境に転職するのは気が早いんじゃないの?』と、逆に批判されてしまいました」(芦田さん)。

自分の中では正当性のある理由で転職したにも関わらず、批判的な反応をされたことで、芦田さんは自分が経験してきたことに自信をなくしていく。それからは自分の唯一の強みである、「前職の経験」をアピールすることを避け、「できること(経験したこと)でも、できない」と答えてしまうようになったという。

不採用続きで”アピール不足症候群”に陥る

ヒアリングを進めていくと、新卒の就活のときから、「自信が持てないことをアピールしない」という徴候があったことがわかった。芦田さんは大学時代に留年し、そのことを必要以上に気にしていたのだ。志望職種も第一希望の設計職ではなく、少し就職のハードルが低い施工管理職を選んだ経緯がある。芦田さんには自信がなくなると、アピール(勝負)を避け、消極的な選択肢を選ぶ傾向があったのだ。

「批判されたり、自分のアピールは大した事がないと思われたりしないかと、不安に感じ、アピールすること自体を避けていました。必要以上に恐がってしまうのは、自分の悪い癖でした」(芦田さん)。

そうしたことを自分でつかめなかったことや、退職から半年ほど経過していたこともあり、芦田さんの転職サポートは序盤から苦戦が続く。選考企業からは軒並み低い評価が相次いだ。1社だけ内定が出たが、評価が低かったことで、設計職ではなく、前職と同様の施工管理職での採用。勤務地も北海道という条件だ。迷った挙句、「施工管理として再就職しても前職と同じように休日出勤が続くのではないか」という結論となり、内定を辞退した。

不採用続きの第二新卒は、このようにして“アピール不足症候群”に陥りやすい。そこで「武器となる経験(アピール材料)」の「伝え方」をアドバイスした。

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