どんな出来事があった?「2017年の鉄道業界」 豪華列車が話題を呼ぶ一方でトラブルも多発

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料金は1泊2日のもっとも安いコースでも四季島が32万円、瑞風が25万円と高額だが、運行開始直後のシーズンの予約は四季島が応募数1234件で平均倍率は6.6倍(2017年5~6月分)、瑞風が2022件で5.5倍(同6~9月分)に達した。その後に行われた募集でも四季島が平均倍率9.4倍(2018年4~6月出発分)、瑞風が12倍(同3~6月出発分)と高い人気を示している。

「ザ・ロイヤルエクスプレス」の外観(撮影:尾形文繁)

クルーズ列車は金額的に無理でも、これならちょっと手が届きそう……と思わせる豪華観光列車も登場した。伊豆急行と東急電鉄が7月から横浜―伊豆急下田間で運行を開始した「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」は、JR九州の豪華クルーズ列車「ななつ星 in 九州」などを手掛けた水戸岡鋭冶氏がデザインを担当し、木材を生かしたインテリアが特徴。水戸岡氏は「多くの人が心地いいと思う素材である木をふんだんに使い、古今東西の様式やデザインをちりばめた」と語る。こちらは宿泊や観光なしの食事付き乗車プランが1人2万5000円からだ。

8月10日に鬼怒川温泉駅で行われたSL「大樹」の出発式(撮影:大澤 誠)

一方、豪華列車や食事を楽しむ列車とは違い、「鉄道産業文化の保存と活用」をうたう観光列車としてSL「大樹」の運転を開始したのが東武鉄道だ。蒸気機関車C11形207号機をJR北海道から借り受け、機関車の方向転換を行う転車台はJR西日本から譲り受けるなど、全国の鉄道各社の協力を得て8月10日から下今市―鬼怒川温泉間で運転を開始。あす、2018年1月1日は元日限定ヘッドマークの取り付けなど新春イベントも行われる。

「座れる通勤列車」続く人気

「S-TRAIN」に使用される西武鉄道の40000系(撮影:尾形文繁)

2017年は、近年注目を集めている「座れる通勤列車」もさらに広がりを見せた。西武鉄道は3月、座席をロングシートとクロスシートの両方に転換可能な新型車両「40000系」による座席指定列車「S-TRAIN」の運転を開始。平日は西武池袋線と東京メトロ有楽町線を直通する通勤列車として、休日はみなとみらい線・東急東横線・東京メトロ副都心線と西武線を直通し、横浜と秩父方面を結ぶ行楽向け列車として走る。2018年春からは同じ車両を使用し、西武新宿―拝島(東京都昭島市)間を結ぶ「拝島ライナー」も運転を開始する。

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