就職率は3,4割。中国の就活は大変です 中国エリート学生座談会(その1)

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――そうするとみなさん、「平台」がしっかりして、発展空間のある企業で、バリバリ働きたいという感じでしょうか。

李亜紅:バリバリも程度によりますよね。半導体の業界は残業がすごく多いんですよ。同業の先輩の話を聞くと、待遇はよいけれどいつも残業ばかりで自分の時間がないと愚痴っていました。その点、私の就職先はそれほどハードじゃないのです。それも就職の決め手になりました。

王弘:僕も半導体なので忙しいでしょうね。責任ある仕事はしたいと思っていますが、あまり上から強制されるようなプレッシャーの強い仕事は好きじゃないな。就職先はフレックスタイム制でタイムカードもありません。こういう自由な感じが好きです。

張輝:僕もそう思う。大学では毎日、本当に猛烈に忙しくて、24時間仕事をしているみたいでした。それがしんどくて、就職先はゆとりのあるところがいいと思っていました。今の就職先は世界トップレベルの企業ですけれど、企業文化はゆったりしていて、基本的に残業もありません。それが魅かれた点です。

黄広明:でもだからといって、永遠に変化のない生活は嫌だな。刺激があってチャレンジできる生活がいいですね。仕事はこの先、何十年も続くことです。単調な仕事に就いて、単調な毎日で終わってしまったら、ものすごく悔いが残るだろうと思います。

王弘:男は特にそういう考え方の人、多いでしょうね。誰でも毎日繰り返しの退屈な仕事はしたくないよ。そんなことをしていたら、昇進しないどころか、自分の価値も下がってしまう。

――ということは、「平台」がしっかりして、昇進と昇給できる発展空間があって、仕事は楽しくて、ほどほどのゆとりがある企業が理想?

黄広明:そうなんですけど、本当に職場というものを経験して、何年かしたら、考えも変わると思いますよ。今は熱意があって、将来を理想化しがちだけど、本当に働きだしたら、より安穏な生活が必要だと思うようになるかもしれない。

羽泉:僕の先輩は少し前まで、とにかく出張をバンバン入れて、全国を飛び回りたいと言っていました。でも結婚したら、自分の時間をもっと家族のために使いたいって、出張を断るようになったのです。家庭ができるとそんなものかもしれないな。

李亜紅:私もそう。今はもちろん上へ進んでいきたいと思っているけれど、自分がどこまでの高みを望むのか、あるいは望めるのか、仕事する中で、自分の能力もクリアになっていくでしょう。

※この座談会は「アジア・トップ大学生の就職実態を探索する」/リクルートワークス研究所の調査のために行われたものである。

田中 奈美 ルポライター

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たなか なみ

東京都生まれ。2003年より北京に留学。中国の社会生活やビジネスに関するルポを各紙誌に発表。著書に『北京陳情村』(第15回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作)『中国で儲ける―大陸で稼ぐ日本人起業家たちに学べ』(新潮社)がある

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