漁師という生き方 会社とも家族とも違う、船の上での生活

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漁師には荒々しく寡黙なイメージがあったが、加藤さんも仲間たちも笑顔を絶やさず、人懐っこいのに意外さを感じた。加藤さんによれば、漁師は「肉体労働ではなく精神労働」なのだという。体力以上に、陸地とは懸け離れた世界で働き続けることのストレスを発散できることが重要なのだ。しかめっ面をしていたら、ストレスがたまってしまう。

30歳も年上の先輩たちと働いていて孤独に耐え続けた加藤さんだからこそ、現在は新人が心を開きやすいように気を配っている。気兼ねなく言い合える雰囲気にすることが、全員の働きやすさに直結することを知っているのだ。この記事が載る頃には、加藤さんたちは休漁期間を終えて、整備の済んだ精漁丸で太平洋に乗り出し、「バカを言い合いながら」深海魚を捕っていることだろう。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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