「ピンとこない相手」と結婚まで持ち込む方法 「比較検討」で長所が見える場合もある

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「私、12月までには、絶対に結婚を決めたいんです!!」

6月下旬に面談にやってきた山田彩子(37歳、仮名)は、切羽詰まったような顔で言った。聞けば5月には大手の結婚情報サービスセンターにも入会し、そちらでも婚活しているという。

「今入っているところは、まず掲示板でやり取りをしてから2人が会うので、会うまでに時間がかかる。あと“お断り”のボタンを、自分で操作するから、連絡が遠のいたときに、どのタイミングで“お断り”をしたらいいのかわからない。そこが主催する婚活パーティにも毎週出ているんですが、カップルになっても、その後が続かない。もう時間がないので、もう1つ仲人型の結婚相談所にも入ろうと、今日はこちらに来ました」

なぜ、彩子はこんなにも結婚をあせっているのか?

「結婚しないと、東京の本社から大阪支社への転勤を命じられそうなんです。今の部署だと独身で自由がきくのは私だけ。それに、もともと私は大阪支社から本社に異動してきたんですね。ただウチの会社は、結婚している女性には転勤がないんです」

彩子は、大手のメーカーで働いていた。熊本出身なのだが、大阪の国立大学を卒業後にプログラマーになり、現在の会社の大阪支社に出向、その仕事ぶりが認められ、そのまま社員となった。その後、念願がかない東京本社に異動になったのだが、ここにきてどうも部内に“年明け早々に誰かが大阪支社に転勤を命じられる”という空気が漂っている。そこにいちばんに該当するのが、独身の自分ではないかというのだ。

「今の仕事にやりがいを感じているので、このまま本社に留まりたい。それに、気がつけば36歳。これまでひたすら仕事をして自分の生活を支えてきたけれど、結婚して子どもも産みたい。ならば、この半年間のうちに結婚する! そうすれば本社にも残れるし、家庭も築ける。私が願っている2つのことが手に入るんです」

この決意のもと、私の相談所での彩子の婚活がスタートすることになった。

1週間に5人から7人のペースでお見合い

登録するや、猛ダッシュの婚活を始めた。来たお申し込みは積極的に受け、自分でもどんどんお申し込みをかけていく。7月から8月半ばまでは、毎週末必ずお見合い。多い日は午前中1人、お昼に1人、午後に1人と1日に3回のお見合いをこなし、ウイークデーでも可能な日は、会社終わりにお見合い。1週間に3人から多いときは7人のペースで会っていった。

「がんばるわね~」

「はい、この夏は、天王山です。悔いなくやりきります!」

こうして1カ月半のうちに20近いお見合いをし、その中で“断ったり”“断られたり”を繰り返しながら、8月の終わりには、交際相手を4人に絞り込んだ。大手結婚情報センターでお付き合いが続いていた会社員の上田(41歳、仮名)、私の相談所でお見合いした動画作家の富山(38歳、仮名)、公務員の佐藤(42歳、仮名)、IT会社に勤務のSE幸田(37歳、仮名)。

ところが絞り込んだところで緊張の糸が切れたのか、彼女が初めて弱音を吐いた。

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