「西郷どん」は本当に立派な人物だったのか 2018年NHK大河主人公の「がっかりな実像」

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「英雄」の真の姿に、歴史家の武田鏡村氏が迫ります(写真:アフロ)
今晩20時からNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」がスタートする。主人公の西郷隆盛といえば、歴史小説・ドラマなどでも数多く取り上げられてきた薩摩(鹿児島県)の大英雄である。鈴木亮平が西郷を演じる今回のドラマでは「愛に溢れたリーダー」として描かれるという。
しかし、西郷の実際の行跡をたどっていくと、「愛」とは真逆の冷酷非情な人物像が浮かび上がってくる。『薩長史観の正体』を刊行した武田鏡村氏に、知られざる「西郷どん」の実像について解説していただいた。

「最大の功労者」と「悲劇のヒーロー」の両面

西郷隆盛は「薩長同盟」を結んで維新回天を行い、江戸城を無血開城した明治維新の最大の功労者として「大西郷(だいさいごう)」「大南洲(だいなんしゅう・隆盛の号)」とも呼ばれ、最高の尊敬を集めている。

しかも、明治政府に反逆した西南戦争に担ぎ上げられた総大将で、敗北して自決に至ったにもかかわらず、悲劇的なヒーローとして国民的な人気を集めている。

明治維新の偉業と明治新政府への反逆という矛盾した行動をとった西郷の人気は、実は数々の暴虐や策謀の末に成立した明治新政府への国民の無言の反感によって成り立っているといってよいだろう。いわゆる「判官びいき」である。

明治新政府がつくり上げた「薩長史観」(参考:なぜいま、反「薩長史観」本がブームなのか)では、当然のことながらこのあたりについての評価を下すことなく、西郷を単に傑出した偉人と見なすことで、明治維新で行った数々の不行跡を隠蔽しているように思える。

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