仏壇のはせがわがイオンにまで出店するワケ カリモク家具ともコラボ、「仏壇革命」を狙う

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「おててのしわとしわを合せてしあわせ なーむ」と少女が唱えるテレビCMで知名度を上げたはせがわ。2代目社長の長谷川裕一氏が業容拡大に舵を切った。九州・山口県を足掛かりに関東、東海にも進出して店舗網を張り巡らせ、業界最大手の地位を確立した。売上高は200億円台前半から半ばをおおむね維持してきたが、消費増税駆け込み需要の反動減で193億円に落ち込んだ2015年3月期以降、200億円台を回復できないままでいる。

売り上げが伸び悩んでいる背景には何があるのか。和室のないマンションが増加しているなどの住宅事情や、供養に対する考え方の変化に伴って多様化した顧客ニーズに十分に対応できていないとみられる。

新型店舗で仏壇店のイメージを覆す

打開策の1つが新たな店舗スタイルの開発だ。従来はロードサイド店が中心。家族が亡くなるという非日常的な出来事が起こったとき、明確な購入意思をもって来店する顧客を念頭においていた。だが、こうした「待ちの姿勢」だけでは限界がある。「供養や祈り、願いを日常生活に取り入れ、より身近なものにしていただくために新しい店舗づくりに取り組んだ」と、江崎徹社長は語る。ロードサイド店よりも小さい商圏で店舗も小規模ながら、高い収益性が得られるスタイルを確立したいとの狙いもあった。

イオンタウンおゆみ野に出店したはせがわの店頭。カラフルなろうそくなど、手に取って見たくなるような商品が並ぶ(記者撮影)

そこで打ち出したのが「リビングスタイル店」だ。駅に近く便利な立地、供養や祈り、願いをより日常的にするような商品提案、そして従来の仏壇店のイメージを覆す明るさと入りやすさを追求した店舗となっている。2015年に第1号店を東京都内に出店、現在は関東を中心に6店舗を展開する。「幸いにもお客様に受け入れられ、既存店に比べて収益化するまでの期間が短い」(江崎社長)。

先述したイオンタウンおゆみ野店も、リビングスタイル店の1つだ。駅近の立地でスタートした新型店舗だが、「日常性」を追求する中で、SCへの出店にも取り組んでいる。2017年11月には、愛知県日進市に新規開業したセブン&アイ・ホールディングス運営のプライムツリー赤池にも出店した。「当初はSCに仏壇店はそぐわないという意見も頂戴したが、多様な年齢層のニーズに応えるというSC側の事情もあり、最近では理解も得られるようになった」と江崎社長は話す。

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