ピエトロが運営する「野菜食べ放題」の正体 「万能調味料」としてのドレッシングをPR

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料理教室は月に1度のペースで、午後4時から、午後6時からと回を分けて行っている。参加費は1000円で、1時間のうち、前半の30分が料理デモンストレーションに、後半30分が試食タイムにあてられる。定員は20人だが、非常に人気で、毎回、30人ほどは参加があるそうだ。

講師は社員である奥多氏が務めるとはいえ、1000円で料理が学べ試食できるだけでなく、お土産にドレッシングがもらえるという、参加者にとってはかなりお得な料理教室となっている。ここ数回はJAや都道府県とのコラボレーション企画で行っており、食材をコラボ先に提供してもらえるので、受講料を安くできているそうだ。コラボ先にとっては、地元の食材の新しいレシピ開発や、宣伝をしてもらえるという面でメリットがある。

「前回行ったJA長野さんの料理教室では、『きのこの鍋料理以外の食べ方を考えてくれ』と宿題を出されました」(奥多氏)

偶然ではあるが、同社やアンテナショップが入居している交通会館には、テナントとして県のアンテナショップが複数入っているほか、近隣にも県のアンテナショップが多数ある。このことによって料理教室の開催がスムーズになっているという。

事業とアンテナショップの取り組みの関係

では、こうしたアンテナショップの取り組みは、実際に同社の事業にどのように役立っているのだろうか。

「『ここに来ればピエトロ商品の全種類がそろっている』ということで、ピエトロのファンを増やしていきたいと思っています。またお客様との直接の接点の1つとして活用しています。月に3000人の方が訪れますので、お客様の声をヒアリングし、商品開発に生かしています」(岡野氏)

前述のエキストラバージンオリーブオイルを使ったドレッシングや、『フライドオニオン』のような、サラダ用のトッピングなども、ヒアリング結果を取り入れて開発した商品だという。また、ドレッシングのアンテナショップは珍しいのか、テレビ番組などに取り上げられることも多くなり、結果として商品の宣伝につながっているそうだ。

「理想は、ここでの取り組みをスーパーなどの流通にリンクさせていくことです。たとえば、レシピのペーパーを置いてもらったり、調理デモをすることなどです。最近ではスーパーでも、『クッキングスタジオ』といったデモンストレーションスペースを設けるところが増えています。そういったスーパーで取り上げてもらう方法もあります」(岡野氏)

調味料のメーカーなどが、自社ホームページでレシピを紹介したり、レシピ本を発行したりといった流れは以前からある。同社の取り組みは、そのリアル版といえるかもしれない。消費者が実際に料理を味わい、学ぶことができ、食の楽しみが広がる。JAや都道府県と連携をとって行っていることも、生産者と消費者を結ぶ意味がある。結果として、食の安心・安全を意識したり、食生活の大切さへの気づきにつながるかもしれない。外食や中食へと移行し、家庭でほとんど料理しない人も増えているなか、ニーズに合わせた商品を生産販売するだけでなく、食の大切さを伝えていく姿勢も、食にかかわる企業に求められるようになる。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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