「セクハラ癖」は治療で改善できるものなのか

「治療する」と有名人は言うけれど

性犯罪者を治療する「標準的な」治療法など存在しないと言う専門家も(写真:Ishadow / PIXTA)

ハリウッドの大物プロデューサーから火がつき、俳優、ジャーナリスト、さらには政界にまで広がる米国のセクハラスキャンダル。このうち何人かが、謝罪(らしき)声明とともに、自分の歪んだ性癖や人格を正すべく、専門家の助けを求めるという声明を出した。

一連のスキャンダルの第1号となった映画プロデューサーのハービー・ワインスティンは10月、「現在の私は、自分について学び、自分の中にいる悪霊を克服する途上にいる」という声明を発表。未成年に対するレイプ未遂や撮影現場でのセクハラが明らかになった俳優ケビン・スペイシーも、「検査と治療を受けるために必要な時間」を持つと発表した。

単なる追及逃れの口実なのか、心からの悔恨のどちらを意味するのかはわからない。だが、こうした声明は「性犯罪者を治療する標準的な方法」が存在することを前提としている。しかし実際には、標準的な治療法など存在しないと専門家は言う。

「私が知るかぎり、最近ニュースになっている男たちのための、エビデンスに基づく治療法は存在しない」と、米心理学会のベール・ライト研究・特別プロジェクト部長は言う。

もちろん専門家の助けがまったく無駄というわけではない。トークセラピー(会話療法)と投薬によって、違法な性行為を抑止できる場合があるという証拠は、控えめながら存在する。ただし、成功例は事実上すべて重症者(小児性愛者や露出症)の治療で得られたものだ。

それでも、性的ターゲットをじろじろ見ることからレイプまで、幅広い性的問題行動に、「治療」というアプローチがありうると考えるべき理由は存在する。

「やりすぎた」でなく「無理やりだった」

「性的問題行動といっても、実のところまったく異なる2つのグループからなる」と言うのは、ロリー・リードUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)助教だ。

「第1のグループは、強迫観念に駆られてやってしまう性行動。第2のグループは、同意のない相手に対する性行動つまり性犯罪だ」。第1のグループには、ポルノサイトを見てばかりいて落第してしまった大学生や、経済状態や健康を損なうほど買春を繰り返してしまう男性が含まれる。

このタイプの人は、薬物乱用と同じような治療法が行われる。つまり12段階プログラムや、グループカウセリング、典型的な衝動制御法(問題行動の引き金となる可能性の高い交友関係や場所を避けるなど)が試される。また、ギャンブル中毒や薬物中毒といった強迫行動と同じように、ライフコーチング、カップルカウンセリング、催眠術療法、宿泊型クリニックといったサービスが存在する。

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