海外進出、「負ける企業」と「勝つ企業」

月額3万円~選ばれる「クラウドERP」の正体

業種業態、企業規模の大小を問わず、日本企業のグローバル化が進み、経理業務、在庫管理、請求業務など海外業務システムのニーズが高まっている。大規模拠点用の基幹業務システム(ERP)はあるものの、中小拠点で使うには高価すぎるのが課題とされてきた。そんな中、中小企業や中小拠点に特化したサービスが登場し注目を集めている。低価格クラウド型ERP「multibook」だ。多言語・多通貨に対応しながら、最低月額3万円と非常に安価な点が大きな特長だ。

海外の中小拠点向け多言語対応のERP

『multibook』を開発したマルチブック社は、大手ERP(基幹業務)システム、オフショア開発・海外ヘルプデスク、ビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)事業などを活用し、日本企業のグローバルシステム展開を支援するコンサルティング会社だ。

代表取締役CEO
村山 忠昭

「開発のきっかけは、コンサルティング業務の過程で、大手企業のお客様から、海外の中小規模の現地法人や駐在員事務所にフィットする業務ソフトを探してほしいと相談を受けたことです」と同社代表取締役CEOの村山忠昭氏は話す。

その要望に応えるために国内外の業務パッケージソフトを探したものの、大規模拠点用のERPソフトはあっても中小拠点には高額すぎた。逆に、安価なものやローカルソフトは十分な機能や品質が伴わない。

「無いなら、いっそ当社で作ってしまおうと考えました」と村山氏は振り返る。同社は、世界30カ国以上におけるシステムコンサルティングのノウハウや、フィリピンでのオフショア開発の実績があるため、開発費用を抑えることができる。こうして2015年に誕生したのが、クラウド型ERPソフト『multibook』だ。

画像を拡大伝票摘要・明細摘要のテキスト項目は、言語を自動判断して日本語に翻訳されるので、伝票確認や監査対応も容易かつスムーズに行える

『multibook』の大きな特長は、日本語、英語、タイ語、韓国語、ベトナム語での画面表示、各国の通貨での計上、各国会計基準での調整仕訳入力、財務諸表出力などが可能なことだ。

「海外現地法人のスタッフは現地の言葉で、日本の本社は日本語で利用ができます。非英語圏の拠点との情報共有も容易になります」(村山氏)。

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  • 明治大学経営学部教授
  • 大石芳裕