京急空港線「5年後に大幅値下げ」実現するか 品川―羽田空港間410円が240円になる?

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京急の赤い電車。空港線では加算運賃を徴収している(撮影:尾形文繁)

国際線の発着も増えている羽田空港。2016年の国内線・国際線を合わせた旅客数は8000万人だが、まだまだ伸びることが予想されている。

重要なのは空港アクセスだ。羽田空港が開港したのは戦前の1931年だが、初めての都心から空港への本格的な鉄路アクセスとなったのは東京モノレールだ。1964年の東京オリンピック開催の直前に浜松町から空港へ直接乗り入れた。以来、長年にわたりモノレールによる鉄路の独占が続いたが、1993年に京浜急行電鉄(以下、京急)が現在の天空橋駅まで延伸し、1998年に羽田空港駅(現在の羽田空港国内線ターミナル駅)が開業した。こうして2社による競争時代が幕を開け、現在、両社は速達性や利便性(本数増や駅改良など)でしのぎを削っている。

では、運賃はどうか。東京モノレールは浜松町―空港間が490円(きっぷの大人普通運賃の場合)、京急は品川―空港間が410円(同)だ。80円の差があるが、どちらも400円台であるという点では同じだ。

410円のうち170円が加算運賃

しかし、この関係がそう遠くない時期に激変する。それは京急の410円の運賃のうち、170円は時限運賃である加算運賃(天空橋―羽田空港間)であり、その趣旨が達成される時点を目処として減額や廃止などの見直しを行うことが国土交通省の運賃認可の際の条件になっているからだ。廃止となれば、京急の運賃は品川―空港間240円となる。

鉄道運賃は一社一運賃が原則だが例外もある。その1つがこの加算運賃だ。加算運賃は、鉄道の新線など巨額の設備投資が必要となった際に、その費用を鉄道会社線のすべての利用者に負担を求めるのではなく、開業による受益と負担の均衡を図るために、新線利用者に対して一定額を基本運賃に加えるものだ。最近、京王電鉄が来年3月からの相模原線の値下げを発表したが、これも加算運賃(1979年設定)の見直しに伴う措置だ。相模原線の加算運賃は距離に応じて10~80円だが、今回は20円の値下げ(10円の区間は10円)とし、今後さらに下げるとしている。

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